東京電力と中部電力の初の海外共同事業、350億円を投じて米国に火力発電所電力供給サービス(1/2 ページ)

国内外で火力発電所を新設する計画の東京電力と中部電力の合弁会社JERAが米国で巨額の投資案件を決めた。ニューヨーク州で2020年に運転を開始する天然ガス火力発電所の建設プロジェクトに350億円を出資する。JERAが2015年4月に発足してから初めての新規案件である。

» 2017年01月31日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 JERA(ジェラ)が出資する天然ガス火力発電事業は、米国のニューヨーク市から北東に約100キロメートルの距離にあるドーバー(Dover)市で計画中だ(図1)。ドーバー市内にはカナダからニューヨーク市まで天然ガスを供給するパイプラインが通っていて、発電用の燃料を低コストで調達できる好立地にある。

図1 天然ガス火力発電所の建設予定地。出典:JERA

 この火力発電事業を担うクリケット・バレー・エナジー・センター社に対して、JERAを筆頭に、日本政策投資銀行のほか、米国の発電事業者や金融機関など合計6社が出資する(図2)。出資額は全体で7億900万ドル(日本円で約800億円)にのぼり、JERAが44%を占めて最大の出資者になる。JERAの出資額は約350億円である。

図2 天然ガス火力発電事業の概要(上)、事業スキーム(下)。出典:JERA

 加えて三井住友銀行を含む世界各国の金融機関が総額8億7500万ドル(約1000億円)を融資することも決まった。全体の事業費は合わせて15億8400万ドル(約1800億円)を見込んでいる。発電能力は天然ガス火力で最大級の110万kW(キロワット)に達する。2020年の第1四半期(1〜3月)に完成して運転を開始する予定だ(図3)。

図3 天然ガス火力発電所の完成イメージ。出典:Cricket Valley Energy Center

 発電設備にはガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて2段階で発電する最新鋭のコンバインドサイクル方式を採用する。年間の発電量は米国の一般家庭の使用量(年間1万キロワット時)に換算して100万世帯分に相当する規模になる。ニューヨーク州の独立系統運用機関であるNYISO(New York Independent System Operator)の卸電力市場を通じて周辺地域に電力を供給する。

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