電力会社10社の売上高が前年比8.3%減少、燃料費で稼ぐ時代は終わる電力供給サービス(1/3 ページ)

電力会社10社の2016年4〜12月の売上高は、前年から8.3%減少して合計で13兆円にとどまった。販売量が1.1%減ったことに加えて、燃料の輸入価格の変動に伴う調整額の減少分が大きい。東京電力をはじめ6社が減益に陥る一方、原子力発電所を再稼働させた九州電力が利益を大幅に伸ばした。

» 2017年02月01日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 電力会社の2016年度第3四半期(4〜12月)の決算は明暗が分かれた(図1)。最も厳しい結果に終わったのは東京電力だ。売上高が前年から13.8%減り、本業のもうけを示す営業利益は1261億円の減少になった。中部電力も売上高が10.7%と2ケタの減少で、営業利益を698億円も減らしている。

図1  電力会社10社の2016年4〜12月期の売上高・営業利益(連結決算)と販売電力量

 これに対して営業利益を最も大きく伸ばしたのは九州電力である。売上高は0.5%の減少ながら、営業利益は305億円の増加だ。川内原子力発電所を再稼働させたことによる増益効果が290億円にのぼった。関西電力も売上高を7.3%減らしたが、営業利益は287億円の増加だった。2015年に実施した電気料金の値上げが利益をもたらした。

 販売電力量は東日本では前年を下回る一方、西日本では夏の気温上昇によって前年を上回った地域が多い。特に四国電力は前年から10.3%の大幅な増加を記録した。ただし他の地域に融通した電力量が多く、それを除いた地域内の販売量は1.0%の微増にとどまっている。

 10社の中で売上高・営業利益ともに最大の減少に陥った東京電力の収支の状況を見てみる。前年と比べた売上高の減少は6194億円にのぼるが、その要因は「燃料費調整額」の減少に尽きる。実に6390億円も減っていて、売上高の減少分を超える規模になっている(図2)。

図2 東京電力の売上高の内訳(連結決算)。出典:東京電力ホールディングス

 LNG(液化天然ガス)をはじめ燃料の輸入価格が下落したために、電気料金に上乗せする調整額の減少をもたらした(図3)。加えて販売量の縮小による収入の減少も大きく、他地域への融通を含めて約500億円にのぼった。その一方で再生可能エネルギーの買取に伴う交付金が587億円も増加して、売上高の減少をカバーする構造になっている。

図3 東京電力の燃料輸入価格。CIF:運賃・保険料を含む燃料輸入価格。出典:東京電力ホールディングス
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