12の予測は光と影、2035年のエネルギー(1):自然エネルギー(4/4 ページ)
- 【予測8】石炭需要はピークに達した。中国はエネルギー市場で最大の成長国だが、石炭依存を減らす政策を採っている
OECD諸国における石炭需要は、2005年ごろをピークに今後下がり続ける(図9)。2025年以降は中国の需要も増加から減少に転じ、これが世界需要の動向を決める。中国の石炭需要は2035年においても、世界需要の約5割を占めるものの、もはや減少は止まらない。
中国にかわって需要の伸びを支えるのがインドだ。世界需要に占める割合は現在の10%から20%へと倍増する。2035年においても需要増が止まらない。このとき、インドの人口は中国を上回っている。
図9 石炭需要の変化と地域別内訳 最大の需要国である中国でも減少する(左)、中国の動向が世界需要を決める(右) 出典:BP Energy Outlook 2017 edition
予測1から予測8までの結論はこうだ。エネルギー消費量の伸びは、技術革新に助けられてGDPの伸びよりも少なくなる。2035年時点でも化石燃料が世界のエネルギーを支えている。ただし、天然ガスが石炭を追い抜く形だ。石油不足は起こらない。
このような図式の中で、再生可能エネルギーはどのような地位を占めるのか。次回は電力や二酸化炭素排出量、過去のOutlookとの比較を交えて紹介する。
- 12の予測は光と影、2035年のエネルギー(2)
英国の国際石油資本BPが2035年までの世界のエネルギー動向を予測した「BP Energy Outlook 2017 edition」。前回に引き続き、今回は再生可能エネルギーや電力、二酸化炭素排出量などについて、4つの予測を紹介する。
- 世界需要の36%、再生可能エネで実現か
現在、各国政府が掲げる政策目標の「2倍の水準」の再生可能エネルギーを導入する必要がある。IRENA(国際再生可能エネルギー機関)が2017年1月に発表した報告書の目標だ。同報告書では再生可能エネルギーの現状と将来を政策や技術、投資から分析した。
- エネルギーを食いつぶすのは誰だ、2035年の世界はどうなる
国際石油資本であるBPが、エネルギー需要に関する2035年までの予測を発表した。結論は大きく3つある。一次エネルギーの需要は41%増加するものの、十分な供給が可能だ。エネルギー自給率は北米以外高くならない。最も悪いニュースは化石燃料への依存度が下がらないことだ。大量に導入される再生可能エネルギーを計算に入れても、二酸化炭素排出量が29%増加してしまう。
- 日本の天然ガスと石炭はオーストラリア産が最大、原油の中東依存は変わらず
火力発電の電源構成が大きく変化して、日本では天然ガスと石炭の輸入量が増える一方、原油は減少傾向が続く。現在は天然ガスの2割、石炭の6割をオーストラリアから輸入している。ただし原油を中東に依存する状況に変わりはなく、天然ガスも世界の埋蔵量の4割以上が中東に集中する。
- なぜ石油はいつまでも「あと40年」なのか?
限りある資源として貴重な石油。だが、あと40年でなくなると言われながら、10年経過しても期間が短くなることはない。なぜこうなるのか。今回の質問は期間が短くならない理由だ。理由として誤ったものを選んで欲しい。
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