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» 2017年02月06日 06時00分 UPDATE

省エネビル:想定以上の地震に効果、大林組が免震フェンダーを開発

大林組は建築基準法などで定められている地震動を超える地震が発生した場合に、免震建物が免震擁(ようへき)などへ衝突した際のリスクを軽減する緩衝装置「免震フェンダー」を開発し、実建物への適用を開始した。衝撃力を緩和し、想定以上の地震に対して建物および居住者の安全性を向上させる効果がある。

[長町基,BUILT]

 大林組は、住友ゴム工業(神戸市)の協力により、建築基準法などで定められている地震動を超える巨大地震が発生した場合に、免震建物が免震擁(ようへき)などへ衝突した際のリスクを軽減する緩衝装置「免震フェンダー」を開発した。

免震フェンダーの設置例 出典:大林組

 免震建物は地震時に建物が大きくゆっくりと動く構造であるため、地盤側の擁壁と建物の間に適切なクリアランス(隙間)を設けている。建築基準法などで定められている地震が発生した際、建物はこのクリアランス内で水平に揺れ、擁壁と衝突することがないよう設計されている。

 一方、想定以上の大きな地震が発生した際には、地盤側の擁壁が建物と衝突する場合もあり、衝突による衝撃力で建物自体が大きく揺れるため居住者の安全性が脅かされたり、建物が損傷したりする可能性がある。また、擁壁が設けられない中間層免震建物でも、免震装置の過大変位防止用ストッパーが設けられる場合があり、想定以上の地震時には、ストッパーと建物の衝突によって同様の問題が発生する可能性も予想される。

 今回開発した免震フェンダーは、建物と擁壁(またはストッパー)との間に設置する緩衝装置。高減衰ゴム製の緩衝材が塑性変形することで衝突のエネルギーを吸収し、衝撃力を緩和するため、想定以上の地震に対して建物および居住者の安全性を向上させる。また、免震フェンダーは高減衰製ゴムブロックと取り付け用の鉄板で構成されたシンプルな装置であるため、コストも安いという。

 設置には、免震建物に通常求められるクリアランスに装置の厚さを考慮する必要があるため、同装置は新築免震建物への適用を前提としているが、現状のクリアランスの大きさや敷地条件によっては既存免震建物にも適用することが可能だ。

免震フェンダー設置の有無による衝突時の状態 出典:大林組

 現在、免震フェンダーは、「大林組大阪機械工場BCP拠点事務所(大阪府枚方市)」、中間層免震建物では「(仮称)太白区あすと長町一丁目計画(宮城県仙台市)」や「広島ガス株式会社防災拠点ビル(広島県広島市)」への適用が決定した。これら物件では、建築基準法で定められた大地震(極めてまれに発生する地震動)の約1.5〜2.0倍の地震動に対して、免震フェンダーを設置しない場合と比較した衝突時の衝撃力を約2分の1〜3分の2に低減する設計となっているという。

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