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» 2017年02月09日 11時00分 UPDATE

法制度・規制:長期低炭素ビジョンがまとまる、CO2排出量を80%減らす施策 (1/2)

環境省は長期にわたってCO2を削減する「長期低炭素ビジョン」の素案をまとめた。2050年までにCO2排出量を80%削減する目標に向けて、炭素税を導入する施策などを通じて産業界にイノベーションを促す。炭素税は石炭火力発電所の新設を抑制し、再生可能エネルギーのコストを低下させる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃以下に抑えることは、いまや各国にとって最重要課題の1つになっている。2050年までにCO2(二酸化炭素)の排出量を80%削減することが世界共通の目標だ。日本では2016年5月に閣議決定した「地球温暖化対策計画」の中に、この長期目標を盛り込んだ。目標達成に向けた指針を示すものが「長期低炭素ビジョン」である。

 環境省は2016年7月から12回にわたって委員会を開催してビジョンを策定した。2017年2月3日に公表した素案では、CO2排出量を削減する基本的な考え方を示しながら主要な施策の方向性をまとめた(図1)。これをもとに正式なビジョンを3月中に確定して、今後の政策に反映させる方針だ。

図1 「長期低炭素ビジョン」の全体像(画像をクリックすると拡大)。出典:環境省

 長期低炭素ビジョンにはCO2排出量を大幅に削減する社会のイメージを描いた。製品やサービスを購入する需要側に低炭素の商品に対するモチベーションを高めながら、供給側の企業には低炭素の技術開発を促してイノベーションを起こす(図2)。社会全体が低炭素型に移行することで、化石燃料の輸入量を削減するのと同時に、分散型のエネルギーの導入を通じて地域経済を活性化する狙いがある。

図2 CO2排出量を長期に大幅に削減するプロセス。出典:環境省

 こうした低炭素型の社会を構築するうえで、CO2の排出量に価格を付ける「カーボンプライシング(炭素価格制度)」が重要な施策になる。すでに欧米を中心にカーボンプライシングを導入済みあるいは導入を決定した国は40カ国にのぼる。企業のCO2排出量に応じて「炭素税」を課す方法が一般的だ。

 カーボンプライシングを導入すると、CO2排出量の多い商品の価格が上昇する一方、低炭素の商品の価格が低下して消費者に受け入れられやすくなる(図3)。さらに国が炭素税を原資に使って、減税や補助金を通じて低炭素の技術開発を企業に促すこともできる。ただし炭素税によって商品の価格が全般的に高くなる可能性もあるため、そうした状況を防ぐような制度の設計が必要になる。

図3 「カーボンプライシング」による低炭素化の実現イメージ。出典:環境省
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