こうした度重なる誤算定の結果、全国の送配電事業者がインバランスを精算する時に適用する単価が本来よりも低く出てしまった。影響を受けた発電事業者は全国で約520社、小売電気事業者は約370社にのぼる。
各事業者と送配電事業者のあいだの精算額を正しい単価で計算し直すと、事業者の6割近くが送配電事業者から追加で支払いを受ける必要があることが判明した(図5)。一方で残りの4割強の事業者は、逆に送配電事業者から追加で請求を受けなくてはならない。1社あたり100万円以上の追加請求を受ける事業者もある。
資源エネルギー庁は事業者が追加で支払いを受ける場合の1社あたりの金額の状況を明らかにしていない。総額が約3.3億円にのぼることから、大手の事業者では1社で1000万円以上の支払いを受けるケースも想定できる。追加支払・請求いずれの場合でも事業者の財務状況に影響を与える。資源エネルギー庁は一連の問題に対して、「送配電事業者としてあってはならないこと」と厳しく指摘した。
そのうえで全国10電力会社に対してインバランスの精算をやり直すように要請する。再精算に伴って発生する費用は中部電力と北海道電力が負担することになる。各事業者に対する説明や事務手続き、追加支払・請求時の手数料などを想定すると、再精算の費用も多額になる見通しだ。
インバランスの精算は翌々月の初めに単価を確定して、各事業者に請求する流れになっている(図6)。中部電力と北海道電力では2016年12月から2017年1月にかけて誤算定が判明したため、2016年11月分までの単価の修正が必要だ。再精算の対象は2016年4月から11月までの8カ月分になる。
資源エネルギー庁は再発防止に向けて、インバランス精算の単価を決定するプロセスの役割と責任を法令や規定で明確にする方針だ。現状では決定プロセスの一部が事業者の運用に委ねられていることから、早急に法規定を整備する必要がある。と同時に電力会社のシステム開発・改修に関するガイドラインの策定が求められる。
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