静岡県の牧之原市で食品廃棄物を利用したバイオガス発電所が運転を開始した。市内と県内から1日に80トンの食品廃棄物を収集して940世帯分の電力を作る。建設資金を地元の金融機関から調達して、工事も県内の建設会社に発注した。同様の地産地消モデルを全国7カ所に展開していく。
東海地区で最大規模のバイオガス発電所が静岡県・牧之原市にある「白井工業団地」で2月21日に運転を開始した(図1)。お茶の栽培と漁業が盛んな牧之原市を中心に、県内の食品工場などから排出する廃棄物(食品残さ)をバイオガスの原料に利用する発電プロジェクトだ。
「牧之原バイオガス発電所」には食品廃棄物を発酵させる巨大なタンクのほか、発酵に必要な消化液の貯蔵タンク、廃棄物の前処理施設や排水処理設備を備えている(図2)。廃棄物の保管からメタン発酵によるバイオガスの精製、発電までを一貫処理する体制を構築した。
発電能力は650kW(キロワット)である。1日24時間の稼働によって年間に340万kWh(キロワット時)の電力を供給できる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して940世帯分に相当する。牧之原市の総世帯数(1万6400世帯)の6%にあたる。
発電した電力は固定価格買取制度を通じて売電する。メタン発酵によるバイオガス発電の買取価格は1kWhあたり39円と高い(図3)。年間の売電収入は1億3260万円になり、買取期間の20年間の累計では26.5億円にのぼる。
一方で建設のための総事業費は20.5億円かかった。これまで食品廃棄物の処理に必要だったコストとバイオガス発電事業の運営費を比較して採算がとれる想定だ。1日に処理する食品廃棄物の量は約80トンを予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.