国内初の水力発電100%料金プラン、ソニーと三菱地所が東京電力から購入自然エネルギー(1/2 ページ)

日本で最大の水力発電事業を運営する東京電力グループが、国内で初めて水力発電100%の電気料金プラン「アクアプレミアム」を企業向けに4月1日から提供する。第1号の利用者はソニーと三菱地所の2社で、毎月の使用電力量に応じてCO2排出量ゼロの付加価値分を料金に上乗せして支払う。

» 2017年03月06日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京電力グループは関東・甲信越を中心に1都8県で164カ所の水力発電所を運営している(図1)。発電能力を合計すると986万kW(キロワット)に達する日本で最大の水力発電事業者だ。CO2(二酸化炭素)を排出しない水力発電の特徴を生かし、企業の地球温暖化対策に向けて新たな電気料金プランを打ち出した。

図1 東京電力グループが運営する「信濃川発電所」(新潟県、発電能力16万9000キロワット、運転開始1939年)。出典:東京電力ホールディングス

 小売事業部門の東京電力エナジーパートナー(東京電力EP)が4月1日から、水力発電の電力だけを供給する国内初の電気料金プラン「アクアプレミアム」の提供を開始する。契約電力が500kW以上の利用者が対象で、年間の使用量が100万kWh(キロワット時)以上か、電力を使用する施設の10%以上をアクアプレミアムで購入する場合に限る。

 利用する企業や自治体は施設内の電力をアクアプレミアムによる水力発電だけで購入するパターンのほかに、使用電力のうち一定量を購入するパターンのどちらかを選ぶことができる(図2)。電力の使用量が多い企業や施設の場合には一定量を購入するパターンが適している。

図2 「アクアプレミアム」の電力使用イメージ。出典:東京電力エナジーパートナー

 アクアプレミアムの料金プランは通常の基本料金と従量制の電力量料金に加えて、CO2を排出しない付加価値分を毎月の使用量に応じて上乗せする体系だ。追加する料金は東京電力EPと利用者が個別に協議して決める。

 すでに第1号の利用者としてソニーと三菱地所の2社が確定した。ソニーは東京都心の本社ビル(港区)とオフィスビルの「ソニーシティ大崎」(品川区)の2カ所、三菱地所は東京駅前にあるオフィス・商業施設の「新丸の内ビルディング」(千代田区)でアクアプレミアムの電力を使用する。両社の契約電力などは明らかになっていないが、購入した電力量に基づいてCO2排出量を削減できる。

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