国内初の水力発電100%料金プラン、ソニーと三菱地所が東京電力から購入自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2017年03月06日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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大企業にも再エネ導入の機運

 ソニーは2050年までに環境負荷をゼロにする「Road to Zero」を目標に掲げ、グループを挙げてCO2排出量や廃棄物の削減に取り組んでいる。その中で再生可能エネルギーの導入量を拡大してCO2排出量を削減する方針だ。再生可能エネルギーの電力による環境負荷価値を購入する「グリーン電力証書」を通じて、2015年度には年間で1800万kWhを超える電力量に相当する証書を購入した(図3)。

図3 ソニーが購入している再生可能エネルギー(契約ベース、2016年3月31日時点)。出典:ソニー

 このほかにもCO2の排出削減量や吸収量を認証する「J-クレジット」を利用して、木質バイオマスを中心に全国25カ所のプロジェクトから再生可能エネルギーのクレジットを購入している。グリーン電力証書とJ-クレジットを合わせて、年間に3万5000トンにのぼるCO2排出量を削減した。新たに東京電力EPから水力発電100%の電力を調達して、再生可能エネルギーの導入量を拡大する。

 三菱地所もソニーと同様に、大手企業の先頭を切って再生可能エネルギーの導入に取り組んでいる。東京電力EPのアクアプレミアムを利用する新丸の内ビルディングでは、3年前の2014年4月から3種類の再生可能エネルギーによる電力の調達を開始した。岩手県内の木質バイオマス発電、東京都内の食品廃棄物によるバイオガス発電、千葉県内の太陽光発電を新電力から調達している(図4)。

図4 「新丸の内ビルディング」で使用する再生可能エネルギーの電力供給体制(2014年4月1日から)。PPS:新電力。出典:三菱地所

 新丸の内ビルディングの契約電力のうち5割を3種類の再生可能エネルギーによる電力でカバーする。需要が増加する昼間の時間帯を中心に再生可能エネルギーの電力を供給しながら、残りの5割は東京電力EPと契約して一定量を調達する体制だ(図5)。今後は東京電力EPが供給する電力の中でも、水力発電によるCO2フリーの再生可能エネルギーが増える。

図5 「新丸の内ビルディング」の電力使用イメージ(2014年4月時点)。出典:三菱地所

 東京電力EPが企業や家庭に供給する電力のCO2排出量は、2015年度に1kWhあたり0.491kg-CO2(CO2換算キログラム)だった。年間に100万kWhの電力を東京電力EPから購入した場合には、CO2排出量が491トンになる。アクアプレミアムでCO2フリーの電力を購入するとCO2排出量がゼロになり、国や自治体に報告するCO2排出量の削減に生かせる。

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