駅の食品廃棄物から3000世帯分の電力、JR東日本がバイオガス発電へ自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2017年03月09日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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2030年度までにCO2排出量を40%削減

 JR東日本は鉄道の運行で大量の電力を消費することから、節電による使用量の削減と再生可能エネルギーの拡大にグループを挙げて取り組んでいる。資源が豊富な北東北の3県(青森・岩手・秋田)を中心に、太陽光・風力・地熱・木質バイオマス発電を推進中だ(図4)。秋田県の沖合で計画中の洋上風力発電プロジェクトにも参画している。

図4 JR東日本グループの再生可能エネルギー発電プロジェクト。出典:JR東日本

 首都圏では車両基地の構内や駅舎の屋根で太陽光発電を実施してきたが、新たに都市部で発生する食品廃棄物を利用できるバイオガス発電で再生可能エネルギーの電力を増やしていく。と同時に環境に負荷を与えるCO2(二酸化炭素)と廃棄物の削減にもつなげる(図5)。

図5 JR東日本グループの環境目標の進捗(画像をクリックすると注釈も表示)。星印は環境パフォーマンスデータの保証対象。出典:JR東日本

 JR東日本は鉄道事業のエネルギー使用量を2013年度から2030年度のあいだに25%削減、CO2排出量を40%削減する目標を掲げている。CO2排出量は2013年度から2015年度にかけて削減できておらず、今後さらに再生可能エネルギーの拡大とエネルギー使用量の低減に取り組んでいく必要がある(図6)。

図6 JR東日本のCO2排出量。出典:JR東日本

 一方で駅や列車から排出するゴミ(廃棄物)の削減とリサイクルも環境面で重要なテーマになっている。ゴミの排出量は2010年度から2015年度の6年間で横ばいながら、リサイクル率は年々上昇して2015年度には95%に達した(図7)。

図7 駅や列車から排出するゴミの量とリサイクル率。出典:JR東日本

 ただし紙類やペットボトルのリサイクルが中心で、食品廃棄物のリサイクル率は高くない。今後も駅の立地を生かした物販・飲食事業の拡大が見込まれることから、バイオガス発電事業はCO2と食品廃棄物の排出量を削減できる有効な手段になる。

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