「既存10電力会社」のこれまでとこれから3分で分かるこれからの電力業界(9)(1/3 ページ)

「電力小売業界」への就職・転職を目指す方に、急速に変化・多様化する業界動向を分かりやすく解説。今回は、一般電気事業者と呼ばれ大きな市場シェアを占める10の電力会社を紹介。日本全国の地方ごとに存在し、その業態は地域性の強いものとなっている既存電力会社の動きにフォーカスする。

» 2017年03月16日 09時00分 公開
[江田健二スマートジャパン]

地域独占から競争市場へ

 電力小売の全面自由化が始まる前は、家庭部門における電力供給を、日本全国に地方ごとに存在する一般電気事業者と呼ばれる10の電力会社が一手に引き受けていました。皆さんおなじみの、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力です。

 これら既存の電力会社は、1951年に全国が9つのエリアに分けられ、それぞれの地域において各民間企業が独占的に発送配電を行う体制になったことが始まりです。その後、沖縄電力も加わり9電力から10電力体制へ移行しました。

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 9電力体制の発足以来、電力各社は増え続ける需要に安定して電気を供給していくため、供給設備の構築と電源の多様化に力を傾注し、わが国の経済成長を「電気の安定供給」を通じて下支えしてきました。その結果、鉱工業生産は昭和20年代後半には戦前の水準に回復。そして昭和30年〜40年代の高度成長期を経て、昭和43年にはわが国のGDPは世界第2位に躍進したのです。

 このように日本の経済成長を支えてきた既存の電力会社ですが、1995年から2016年にかけて段階的に進められてきた電力自由化による、地域独占・市場独占体制の解体により、これからは他社と競争市場で電力事業を展開していくことになります。このような競争環境の中で、既存電力会社からも多様なニーズを満たすような新しいサービスが生まれることが期待されます。

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