10年以上の歴史を持つ「老舗新電力会社」3分で分かるこれからの電力業界(10)(1/3 ページ)

「電力小売業界」への就職・転職を目指す方に、急速に変化・多様化する業界動向を分かりやすく解説。最終回となる今回は、電力小売事業が一部開放された2000年ごろから電力事業に参入し、比較的長い期間をかけて事業を行ってきた“老舗の新電力会社”について紹介する。

» 2017年03月30日 09時00分 公開
[江田健二スマートジャパン]

2000年代初頭から電力事業を開始した企業たち

 ここでは、2016年の電力小売全面自由化に先立って電力事業に参入し、比較的長い期間をかけて事業を行ってきた“老舗の新電力会社”について解説しておきましょう。

 そもそも、電力小売事業が一部開放されたのは、2000年が始まりです。1999年の電気事業法改正により、2000年3月から大規模工場やオフィスビル、デパートなどの特別高圧で受電する需要家(原則、契約電力2000kW以上)を対象として部分自由化が導入されました。そのため、最も歴史のある新電力会社、つまり“老舗の新電力会社”というのは、この時代には既に、電力もしくはエネルギー事業を展開している企業ということになります。

 電力小売を始めるには、特定規模電気事業者(全面自由化後は小売電気事業者)への登録が必要です。この登録者数は、2011年時点の約60社から、2015年には800社を超える規模となりました。これは2011年の東日本大震災以降、再生可能エネルギーの注目度が高まり、電力事業への新規参入が相次いだことが背景にあります。特に、2012年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」が開始され、全国的に太陽光発電所が急拡大したことが後押ししています。

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 2016年の小売全面自由化によって、新しいビジネスチャンスを見据えた「特定規模電気事業者」への登録が一気に増えました。ですが、特定規模電気事業者に登録している全ての企業が電力小売を行っているかというと、そうとは言えません。むしろ、現実には電力小売の実績がない企業が大半を占めています。実際、2015年9月時点では834社の登録事業者のうち、実際に電力小売を営んでいるのは97社でした。これはつまり、電力小売をするための資格取得・登録はハードルが低かったけれども、実際に事業を始めることはハードルが高かったということを意味します。

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