再エネを使う水素製造装置、トヨタの燃料電池フォークリフト向けに導入蓄電・発電機器

日立造船は、トヨタ自動車九州の宮田工場で稼働させている燃料電池フォークリフト向けに、固体分子型の水素発生装置「ハイドロスプリング」を2017年2月に納入した。

» 2017年04月12日 09時00分 公開
[庄司智昭スマートジャパン]

水素発生装置「ハイドロスプリング」

 再生可能エネルギーで製造した水素が、燃料電池フォークリフトを稼働させる――。日立造船は、トヨタ自動車九州の宮田工場向けに固体分子型の水素発生装置「ハイドロスプリング」(発生量24Nm3/h)を2017年2月に納入したと発表した。

 ハイドロスプリングは太陽光と風力発電による電力で水を電気分解することにより、オンサイト/オンタイムで安定した水素を製造することができる。ボンベの運搬、保管、交換が不要のため安全性と利便性が高い。固体高分子型電解槽の採用により、高効率に水素を製造可能。気象や自然条件により出力が常時変動する風力発電、太陽光発電といった再生可能エネルギーの急激な電力負荷変動に追従する。純度99.999〜99.9999%、露点(大気圧換算)−50〜−70℃と高品質な水素が製造できるのも特長だ。

導入した「ハイドロスプリング」 (クリックで拡大) 出典:日立造船

 日立造船は再生可能エネルギー由来の電力から水素を製造する装置の設計、製造を柏工場(千葉県柏市)で行い、宮田工場での試運転まで担当したという。

約50%のCO2削減へ

 宮田工場における燃料電池フォークリフトの活用はトヨタ自動車九州と福岡県、九電テクノシステムズ、豊田通商との協働で行われている。工場内に設置した太陽光発電により製造した水素で、燃料電池フォークリフトや定置用燃料電池を稼働。再生可能エネルギーに余剰が生じた場合は、工場内で電力として使用する。

 これにより系統電力使用量が削減され、従来の電動フォークリフト活用の場合と比較して約50%のCO2削減が可能という。2017年3月21日から燃料電池フォークリフトを用いた「地産地消型 再エネ水素エネルギーマネジメントシステム」の本格運用が始まった。トヨタ自動車九州のWebサイトによると、全国初の事例となる。

システムフロー図 (クリックで拡大) 出典:日立造船

 同事業は、2016年6月に経済産業省の「平成28年度 地産地消型 再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金」に採択。補助上限額は4億円/年度(最大3年度)だ。2017年度は定置用燃料電池も導入し、展示施設PR館の照明などに活用する予定とした。

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