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» 2017年04月24日 09時00分 UPDATE

自然エネルギー:バイオジェット燃料の一貫製造プロセス開発に着手、1万m2規模の培養設備を構築へ (1/2)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「バイオジェット燃料生産技術開発事業」において、微細藻類や木くずなどのバイオマス原料から、バイオジェット燃料を一貫製造するプロセスの技術開発に着手する。2030年頃にバイオジェット燃料電池の商用化を目指す。

[庄司智昭,スマートジャパン]

1万m2規模の細藻類の培養設備を構築

 2030年以降の航空分野でCO2排出量削減の切り札として世界的に実用化への期待が高まるバイオジェット燃料。これまでの要素技術開発では、微細藻類を用いた大量培養技術で藻を安価に回収することや、木くずなどのガス化で性状を安定化する技術の開発など、安価で安定的に一貫製造する技術の開発が課題として明らかになってきた。

 そこで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「バイオジェット燃料生産技術開発事業」において、微細藻類や木くずなどのバイオマス原料から、バイオジェット燃料を一貫製造するプロセスの技術開発に着手する。

 今回2テーマの一貫製造プロセスの技術開発が採択された。IHIと神戸大学が委託予定先となる高速増殖型ボツリオコッカスを使ったバイオジェット燃料、三菱日立パワーシステムズと中部電力、東洋エンジニアリング、宇宙航空研究開発機構が委託予定先となる高性能噴流床ガス化とFT合成によるバイオジェット燃料である。

バイオジェット燃料を一貫製造するプロセスの概要 出典:NEDO

 具体的には1万m2規模の細藻類の培養設備を構築するなど、パイロット規模の検証試験を行う。より高効率な工業化のための課題抽出とその対策を盛り込み、安定的な長期連続運転や製造コスト低減といった検証をするという。

 これにより2030年頃にバイオジェット燃料電池を商用化し、利用促進・普及を通して、航空分野において温室効果ガス排出量の削減を目指す。なおバイオジェット燃料生産技術開発の事業期間は2017〜2020年度の4年間。2017年度の予算は6.6憶円である。

次世代バイオ燃料開発に向けた取り組み

 バイオ燃料は、再生可能な生物由来の有機性資源を原料に作られた燃料である。燃焼する時にはCO2を排出するが、原料となる作物が成長する過程で二酸化炭素を吸収するため、CO2排出量がないものとされ、再生可能エネルギーの1つとして注目されている。

 NEDOが2015年7月にWebサイトで公開している資料によると、日本のエネルギー利用で20%超を占める運輸部門は、液体燃料でなければ代替できない。再生可能エネルギーの中では、バイオマスだけが液体燃料製造が可能となっている。しかしこれまでの液体バイオ燃料は、サトウキビやパーム油などを原料としており、食料と競合する形となっていた。そのため食料と競合しない次世代バイオ燃料の開発が求められていたという。

 2010〜2016年度に行われた「戦略的次世代バイオマス利用技術開発事業」では、ガス化合成によって液体燃料を製造するBTL(Biomass to Liquid:FTバイオジェット燃料)、藻類由来のバイオ燃料製造技術の開発などが実施されている。

2015年7月における事業概要と今後 (クリックで拡大) 出典:NEDO

 BTLでは大径原料の投入が可能な噴流床ガス化炉と、ジェット燃料剛性に適したAnti-ASF型合成触媒を組み合わせることで、効率向上や低コスト化、未利用だった廃棄物系のバイオマスなど対象原料を拡大し、大量の原料確保実現に向けた開発が進んだ。

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