バイオジェット燃料の一貫製造プロセス開発に着手、1万m2規模の培養設備を構築へ:自然エネルギー(2/2 ページ)
藻類由来のバイオ燃料技術の研究成果は、IHIが2015年6月に公開している資料を紹介する。NEDOの委託を受けてIHIと神戸大学、ちとせ研究所が、高速増殖型ボツリオコッカスから、油を生産する技術開発を進めてきた。
具体的には太陽光とCO2で藻を培養し、藻液を凝縮して乾燥した藻から油を抽出。藻油を改質、精留して燃料を製造している。ボツリオコッカスは一般的な植物由来の油脂に対して、重油相当の炭化水素を生産可能なことが特徴だ。日本独自の藻株という。
ボツリオコッカスの特徴 (クリックで拡大) 出典:IHI
2016年度までのNEDO事業では藻体径の増大、浮上性の向上など製造コスト削減につながる有用形質を集約した新株の育種に成功。2013年度にはIHIの横浜事業所において、100m2規模での屋外安定培養技術を確立している。
2015年度には、鹿児島県鹿児島市七ツ島に1500m2の屋外培養設備を建設。栄養となる糖類を添加せず、光合成のみで藻体の安定的な増殖に成功した。これから構築する培養設備は1万m2とより大規模となるが、2030年の商用化に向けて期待がかかる。
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