中部電力はBidgely(ビジェリ)とABEJA(アベジャ)と共同研究を行い、人工知能(AI)を活用した電気使用量の分析技術について検証することで、各家電の使用状況の推定を目指す。より顧客に合った省エネ方法や家電の使い方に関するアドバイス、見守りサービスの提供につなげる狙いだ。
中部電力は2017年4月、人工知能(AI)を活用した電気使用量の分析技術について検証を開始すると発表した。同社はスマートメーターから取得した30分ごとの電気使用量を利用し、会員向けWebサービス「カテエネ」を提供してきた。
今回独自のAI技術を展開するBidgely(ビジェリ)とABEJA(アベジャ)と共同研究し、AIを活用して電気使用量を分析することで、計測器を取り付けることなく各家電の使用状況を推定することが可能という。より顧客に合った省エネ方法や家電の使い方に関するアドバイス、遠隔地に住む家族の見守りサービスの提供を目指す。
Bidgelyは米国カリフォルニア州に本社を置く、2011年設立のベンチャー企業である。電気使用量と天候などのデータを組み合わせてAI分析を行うことで、家電ごとの電気使用量の推定を行う技術を保有している。この技術を活用して、国内の一般家庭における家電の使い方や生活スタイルごとの分析が可能かを検証するとした。
ABEJAは東京都港区に本社を置く、2012年設立のベンチャー企業だ。ディープラーニングを活用した独自の解析プラットフォーム「ABEJA Platform」を提供しており、これまでに三越伊勢丹やゲオへの導入を発表している。
共同研究では、家族構成などの属性データと部屋ごとの電気使用量を教師データ(AIに事前に与える学習データ)とするAIアルゴリズムを構築する。構築したAIアルゴリズムにより、30分ごとの電気使用量で使用家電などの推定ができるかを検証する。
カテエネは、中部電力が家庭向けに提供していた会員サービス「Club KatEne(クラブ カテエネ)」をリニューアルして2015年2月に誕生した。毎月の電気料金や使用料の確認、省エネアドバイス、契約の変更などを行うことができる。
またコラムの閲覧やアンケートに答えると、独自のポイントサービス「カテエネポイント」がたまっていく。入会時や検針票のWeb切り替えでもポイントがたまるという。たまったカテエネポイントはギフトカードや、電子マネーなどに交換可能だ。
中部電力は、今回の共同研究を通して「AI、IoT(モノのインターネット)など最新技術を活用した、顧客の期待を超える新たなサービスを届けていく」とコメントした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.