SOFCの実用化へ、トヨタがハイブリッド発電の実証開始：蓄電・発電機器

トヨタ自動車は2017年4月26日、円筒形の固体酸化物形燃料電池とマイクロガスタービンを組み合わせたハイブリッド発電システムの実証を、同社の元町工場（愛知県豊田市）で開始した。

[庄司智昭，スマートジャパン]

総合効率65％

　トヨタ自動車は2017年4月26日、円筒形の固体酸化物形燃料電池（SOFC）とマイクロガスタービン（MGT）を組み合わせた「加圧型複合発電システム」（ハイブリッド発電システム）を同社の元町工場（愛知県豊田市）に設置し、実証を開始した。

　実証運転では工場の自家発電設備として活用し、エネルギー効率や運転性、耐久性を検証・評価し、SOFCの実用化に向けたシステムの開発を目指すという。

ハイブリッド発電システムの外観 （クリックで拡大） 出典：NEDO

　ハイブリッド発電システムは天然ガスを改質して取り出した水素と一酸化炭素を使い、SOFCとMGTのそれぞれで発電する2段階の発電機構を採用した。定格出力は250kWである。発電で生じる排熱をエネルギーとして活用する熱電供給も採用している。

　2段階の発電により発電効率は55％を達成。熱電供給も採用したことで総合効率は65％としており、低炭素社会の実現に向けて有効な技術といえるだろう。

ハイブリッド発電システムのフロー図 （クリックで拡大） 出典：NEDO

　今回の実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）による委託事業である。経済産業省の「水素・燃料電池ロードマップ」では、2017年に業務用燃料電池の市場導入が目標とされている。このような背景から、NEDOではSOFCシステムの実証実験を実施し、導入効果の検証と課題抽出を行う事業を2013年度から実施している。