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» 2017年05月11日 09時00分 UPDATE

省エネ機器:「超電導ケーブル」実用化へ、損失を90%以上削減 (1/2)

昭和電線ケーブルシステムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の省エネルギー技術革新プログラムで、超電導ケーブルが実用化開発フェーズとして採択されたと発表した。

[庄司智昭,スマートジャパン]

冷却コストの壁、超えられるか

 −196℃の液体窒素で冷やすことによって、抵抗がゼロになる超電導線の特徴を用いた「超電導ケーブル」。従来のケーブルに比べて通電による損失を90%以上削減することができるため、大きな省エネ効果が期待されている。しかし常時液体窒素で冷却することが必要で、その冷却コストが実用化の障害となっていた――。

 昭和電線ケーブルシステムは2017年5月10日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の省エネルギー技術革新プログラムで、超電導ケーブルが実用化開発フェーズとして採択されたと発表した。プログラムの実施期間は2年、助成額は非公開とした。

 同社は2013年までNEDOの委託事業において、高温超電導線の1つであるイットリウム系超電導線(図1)の低コスト化、高性能化開発に取り組んできた。2014年度から2016年度にかけては、NEDOの同事業で三相同軸型の超電導母線の開発を行っている。

図1:イットリウム系超電導線 (クリックで拡大) 出典:昭和電線ケーブルシステム

 三相同軸超電導ケーブル(図2)とは交流電流を流すU相、V相、W相の3相を、中央にあるステンレス波付き管の上に形成した導体である。各相の間には、合成樹脂と紙のラミネート材でできた絶縁層が形成されている。この導体をアルミおよびステンレスの波付き二重保温管に入れて、液体窒素を流すことで超電導線は抵抗ゼロとなり、紙絶縁層は絶縁特性を発揮する仕組みだ。この構造は、低コスト化に有効という。

図2:三相同軸超電導ケーブル (クリックで拡大) 出典:昭和電線ケーブルシステム

 実用化に向けては、液体窒素などの冷熱が存在するプラントや工場内で、大容量線路に使用できる低コスト型の超電導ケーブルシステムを開発する。

 昭和電線ケーブルシステムによると、2016年度までは三相同軸母線を実際に作製し、基本的な電気特性や安全性などの試験をクリアできていた。この知見を応用し、さらに保温性の高い容器構造を開発することで、民間利用に耐える低コスト構造を目指す。

 また冷却にかかるコストに関しては、液体窒素や窒素ガスを大量に使用するプラントを対象とする冷却システムを提案し、初期導入コスト低減対策の実証も進める。これにより、超電導ケーブルシステム実用化につなげることが目標とした。

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