太陽光で建物のエネルギー収支がプラスに、竹中のZEB化改修で成果省エネビル(2/2 ページ)

» 2017年05月18日 06時00分 公開
[陰山遼将BUILT]
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太陽光発電でエネルギー収支をプラスに

 東関東支店のオフィスビルはZEB改修後、2016年5月から本格的に運用を開始した。経済産業省が発表しているZEBの定義を満たすには、以下の2つの条件をクリアする必要がある。

  1. 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量(エネルギー消費性能基準)から50%以上の一次エネルギー消費量削減
  2. 再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減

 一次エネルギー消費量は1年間の合計で403MJ/m2となった。これは改修前と比較して71%削減できたことになるという。1つ目の条件はクリアすることができ、既に「Nearly ZEB」は達成できた。

1年間の創エネルギー量と消費エネルギー量の推移(クリックで拡大)出典:竹中工務店

 オフィスビルには改修後、屋上に出力40kW(キロワット)の太陽光発電システムを導入している。同時に容量144kWh(キロワット時)のリユースタイプのリチウムイオン蓄電池を併設し、一時的に電力を貯蔵して有効利用できるようにしている。非常時にも活用でき、BCP対策でのメリットもある。なお、季節や日によって発電量が蓄電可能量を上回り、余剰電力が発生した場合は、東京電力に売電している。

 1年間の運用の結果、太陽光発電による発電量の合計は417MJ/m2を記録した。つまり年間のエネルギー消費量403MJ/m2全てを太陽光発電によるエネルギーでまかなえたことになる。これにより、ZEB化を達成することができた。

 竹中工務店では今回のZEB改修で導入した技術や設備は、「ZEB Ready」や「Nearly ZEB」などにも適用可能としており、今後需要が増加するとみられる省エネ改修の提案に活用していく方針だ。

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