排出取引制度、埼玉県が目標を大幅に上回る成果法制度・規制(1/2 ページ)

埼玉県は2011年度から運用を始めている目標設定型排出量取引制度について、第1計画期間(2011〜2014年度)における成果を発表した。目標を大幅に上回る22%削減を実現したという。

» 2017年05月22日 09時00分 公開
[庄司智昭スマートジャパン]

4年間で22%のCO2排出量を削減

 埼玉県が策定した「ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050(改訂版)埼玉県地球温暖化対策実行計画」。2020年における埼玉県の温室効果ガス排出量(需要側)を2005年比で21%削減する目標を定め、さまざまな地球温暖化対策に取り組んでいる。

 その取り組みの中で、エネルギー使用量の多い工場や商業施設などを対象に、2011年度から運用を行っているのが目標設定型排出量取引制度だ。原油換算で1500kl(キロリットル)以上のエネルギーを3年度連続して使用する事業所に対して、CO2の削減目標を設定。目標を達成できない場合は排出量取引により、他事業所の削減量やオフセットクレジット(排出量削減権)を取得し、目標達成に充てることができる制度である。

排出枠設定と取引のイメージ (クリックで拡大) 出典:環境省

 埼玉県では2017年5月、第1計画期間(2011〜2014年度)における目標設定型排出量取引制度の成果について発表した。埼玉県は第1計画期間で、対象となる608事業所に「工場等」で6%、「業務ビル等」で8%のCO2目標削減率を設定*)。今回4年間のCO2排出量をまとめたところ、目標を大幅に上回る22%削減を実現したという。

*)基準排出量は、2002〜2007年度のうち対象事業所が任意で選んだ連続する3年間のCO2平均排出量である。

 428事業所ある工場等は基準排出量3041万トンに対して、実績が2373万トン。180事業所ある業務ビル等は、基準排出量514万トンに対して、実績が112万トンとなった。

第1計画期間におけるCO2排出量 (クリックで拡大) 出典:埼玉県
削減目標を達成した事業所数 (クリックで拡大) 出典:埼玉県

 第1計画期間では、全体の88%にあたる533事業所が自らの省エネ対策で、目標削減率以上にCO2排出量を削減した。また66事業所は排出量取引を活用して達成。そのうち24事業所が仲介事業所、23事業所が同一事業者、16事業所が他事業者から排出削減量を取得したとする。森林吸収や再生可能エネルギー事業によるCO2削減分を価値化したオフセットクレジットを取得し、削減目標を達成したのは3事業所となっている。

 削減目標を達成できなかった9事業所について、埼玉県温暖化対策課は「達成できなかった差分は第2計画期間に引き継ぐ形となるが、エネルギー管理士の資格を持つ専門員の方に協力をいただきながら、県も達成に向けて一緒に取り組みたい」と語った。

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