“竹”活用のバイオマス熱電、実用化への新たな一歩:自然エネルギー(2/2 ページ)
竹の燃料化技術に関しては、日立製作所も2017年3月に発表している。同社では、燃料に不向きなカリウムと塩素を溶出させ、一般的な木質バイオマス燃料と同等の品質に改善できる技術という。林野庁の補助事業「木質バイオマス加工・利用システム開発事業」として、福岡県八女市と北九州市と2年間にわたり開発を進めた成果となる。
竹などの成長が早い植物の断面は多孔質繊維で構成されており、微粒化により内部開放を行えば、水溶性の無機物質であるカリウムが容易に溶出できる知見を得た。これにより竹を専用の粉砕機で粒径6mm以下まで微粒化し、水に浸すことでカリウムと塩素を溶出させ、脱水することでカリウム濃度と塩素濃度を低下させることに成功した。
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脱水後の粉末で作ったペレットを燃焼させたところ、灰の軟化温度は1100℃以上に向上した。塩素濃度も人体に影響のないダイオキシン類レベルとされる木質バイオマスペレット燃料の規格レベルまで抑えることができたとする。同社は「事業化や展開方法は未定」としているが、竹を活用したバイオマス発電の動向は今後も注目だ。
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