“街灯のスマート化”は何を変えるか、シスコの実証エネルギー管理(2/2 ページ)

» 2017年06月05日 07時00分 公開
[庄司智昭スマートジャパン]
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「京都をスマートシティーの先進地域に」

 シスコがこれまで携わってきたスマートシティープロジェクトは、世界30カ国以上にわたる。先進事例としてはスペインのバルセロナ、米国シカゴ、カンザスなどを挙げた。Wi-Fiを街中に張り巡らせ、ICTの共通基盤として活用するバルセロナでは、木津川市でも導入したスマートライティングの他、さまざまな取り組みが行われている。

 1つは「スマートバンキング」である。駐車場に設置したセンサーから空きスペースを感知し、空き状況を運転手のスマートフォンに送信する。駐車場を探す時間の短縮だけでなく、観光客の滞在時間増加による観光収入増加も狙いにある。

 2つ目は「スマートなゴミ収集管理」だ。ゴミ箱内の温度と重量を検知することで、ゴミ箱の空き状況を把握し、ゴミ収集車の運転手に送信される仕組みである。これにより、作業の効率化を図ることができ、ゴミ収集の経費削減につながったという。

 シカゴでのプロジェクトでは、街灯のLED化だけで約60%の電気料金削減を実現。ネットワーク化したことで、さらに約20%の削減につながったとしている。

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京都府におけるスマートシティーの取り組み 出典:シスコ

 2015年5月には、京都府とシスコがICTなどを活用したスマートシティーづくりに関する連携・協力協定を締結。「日本初」のスマートシティー実現に向けた試みである。最初の試みは、京都ならではといえる「スマート観光」実証プロジェクトだ。

 2016年5月に京都府精華町と共同して、JR京都駅に「デジタルサイネージ」と「バーチャルコンシェルジュ」を整備し、2カ月間にわたる実証を行った。デジタルサイネージは京都の魅力やイベントの情報の紹介、検索機能をそろえている。京都府内の6つのエリアで、写真共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」などのSNSに投稿された画像を人工知能で自動で収集し、リアルタイムに表示する機能も特徴的だ。

 バーチャルコンシェルジュは、多言語観光案内ができるツールという。外国語が喋れるスタッフと画面を通して、知りたい情報や観光地への行き方を聞くことができる。

 木津川市における「街灯のスマート化」プロジェクトも、京都府との取り組みの1つとなる。シスコの担当者は「スマートシティーの取り組みは、実証で終わることが多い。木津川市の実証は2017年9月末までだが、フィードバックを反映させて、実運用へのフェーズまでいけたらと思っている。また他の地域にもニーズがあるため、京都府全域をスマート化し、スマートシティーの先進地域となるよう進めていきたい」と語った。

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