緑色植物の光合成を再現、資源制約のない光触媒:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
人工光合成の実現に向けた光触媒の開発は世界的に感心は高いが、日本が技術的な優位性を持つ分野として知られている。1970〜1980年代には酸化チタンに紫外光を照射することで水分解が可能であることを世界で初めて発見(本多・藤嶋効果)。その後、2000年代に入り可視光吸収型光触媒が発見され、多くの研究開発が進んだ。
人工光合成としては、2011年に豊田中央研究所が、二酸化炭素と水からギ酸を合成することに成功した他、2012〜2013年にはパナソニックがギ酸やメタンを生成するシステムを公開している。東芝は2014年12月に人工光合成で、太陽エネルギー変換効率1.5%を実現したとしている。また2015年3月には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)が、人工光合成技術で世界最高レベルとなる太陽エネルギー変換効率である2%を達成したことを発表した。
NEDOの人工光合成の研究開発スケジュールと目標 (クリックで拡大) 出典:NEDO
NEDOでは2021年度までに人工光合成技術で、太陽エネルギー変換効率10%を目指すとともに、最終的には基幹化学品製造基盤技術の確立を目指す。パナソニックなども2020年以降に光触媒水素生成デバイスの実用化に向けた研究開発が本格化するとしている。2020年代には実用化に向けた取り組みが本格化してくるとみられている。
- 「毒」だった一酸化炭素で発電、燃料電池の新たな触媒
九州大学 大学院工学研究院教授の小江誠司氏らは、水素と一酸化炭素が50対50の比率の燃料で燃料電池が駆動することを見いだした。燃料電池の白金触媒で課題とされていた、燃料の水素に含まれる微量の一酸化炭素で被毒され、触媒活性が著しく低下することの解決につながる可能性がある。
- 光触媒のエネルギー効率を7倍以上に、太陽光を使う水素製造のブレイクスルーか
神戸大学と大阪大学の研究グループは、光触媒作用により高効率に水素生成量が行える光触媒の開発に成功したと発表した。材料にメソ結晶化というプロセスを加えることで、従来は1%に満たなかったエネルギー変換効率を7%まで高めることに成功した。高効率な太陽光による水素製造の実現に向けたブレークスルーとなる成果だという。
- 人工光合成で水素を製造するシート、太陽光に反応する光触媒が水を分解
再生可能エネルギーからCO2フリーの水素を製造する試みの1つに、光触媒を使って水を分解する方法がある。NEDOなどの研究チームは2種類の光触媒を混合したシートを使って効率的な水素の製造方法を開発中だ。最新の研究成果では太陽光エネルギーのうち1.1%を水素に変換することができた。
- 水からプラスチックを作る、「人工光合成」で化石燃料不要の化学品製造実現へ
NEDOと人工光合成化学プロセス技術研究組合は、太陽エネルギーを利用した光触媒による水からの水素製造で、世界最高レベルの太陽エネルギー変換効率である2%を達成した。今後2021年度末(2022年3月期)にエネルギー変換効率10%を目指すとともに、同時に開発している分離膜技術と合成触媒技術を組み合わせ、化石資源が不要な化学品製造基盤技術の確立を目指す。
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