「人工光合成ハウス」実現へ、CO2を消費してエネルギー完全自給スマートハウス(2/2 ページ)

» 2017年07月13日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]
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カギとなる2つの技術

 同大学と飯田GHDによる共同研究部門は、2017年に「太陽光エネルギーを利用して高効率でギ酸を生成・貯蔵し、このギ酸から水素を生成する人工光合成技術」と、「生成した水素から高効率で発電する技術」の2つを開発した。

 特に太陽光を利用したギ酸および水素の生成技術については、色素・ビオローゲン・ギ酸脱水素酵素による太陽光駆動型二酸化炭素ーギ酸変換系を金属酸化物基板上にデバイス化することに成功。さらに金属酸化物として酸化チタンを用いることで、ギ酸の生成効率が従来比約6倍に向上した。また、酸化チタンを用いる事で、ギ酸脱水素酵素が不要となる事も発見した。現在は最適なビオローゲンを用いることで、生成効率は約12倍まで向上しているという。

 酸化チタン薄膜基板上に色素・ビオローゲンを担持させたデバイスの採用によるギ酸生成の高効率化により、例えば戸建住宅の屋根に搭載したギ酸生成装置で得られたギ酸を貯蔵し、更にギ酸を水素に変換、発電する事で、住宅が消費する電力をすべて賄うことが出来る可能性が高まったという。

(クリックで拡大) 出典:飯田GHD

 従来の太陽光発電では、晴天の昼間に発電した電気を雨天時や夜間に使うには蓄電池が必要な上に、電力の状態で保存するため、充放電ロスもみられた。一方、今回の人工光合成技術では、太陽エネルギーでギ酸を作り、これをタンクに貯蔵し、電気が必要なときにギ酸から水素を生成し発電するため、それらのような問題もみられない。また、CO2の排出を抑制することはもとより、CO2の活用が可能になるとしている。

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