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» 2017年08月23日 07時00分 UPDATE

スマートホーム:スマートホーム設備市場、拡大にはZEH普及と“サービス”が鍵に

矢野経済研究所の調査によると、スマートホームやZEHなどの次世代住宅向け設備市場は縮小傾向が続く見通しだ。太陽光発電システムの縮小が主な要因となっている。市場の拡大に向けては、ZEHのさらなる普及や、HEMSを利用した住宅向けサービスの拡充が求められるとしている。

[長町基,スマートジャパン]

 矢野経済研究所が、スマートホームや「ZEH(ネット・ゼロエネルギー・ハウス)」などの次世代住宅向け設備について市場調査を行い、その結果を公表した。対象としたのはHEMS(Home Energy Management System)・スマートメーター(制御系機器)、太陽光発電システム・燃料電池システム・ガスエンジンコージェネレーションシステム(創エネ系機器)、家庭用蓄電システム・V2H(蓄エネ系機器)の7つの設備。2016年度の7設備を合計した市場規模(末端販売額ベース)は、前年度比87.7%の7191億4000万円だったと推計している。

 政府は、エネルギーの効率的な利用を実現するスマートハウスや、年間の一次エネルギー消費量を正味でゼロにするZEHの普及促進を目指している。それに伴い、ハウスメーカー各社からこれらの仕様を備えた住宅商品の市場投入が加速している。こうした住宅を構成する各種設備機器の需要も高まっているが、市場の大半を占める太陽光発電システムの縮小により、2016年度の市場規模は前年度より減少となった。

 これまで市場をけん引してきた太陽光発電システムは、補助金が終了した2014年度以降、市場規模は大きく縮小傾向にある。その後「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」の買い取り価格の下落も進み、売電による経済的メリットは以前より薄まっている。太陽光発電システム単体での訴求力が弱まったため、各販売事業者はHEMSや蓄電池などとセットで販売することで拡販に注力しているが、今後も市場規模の減少は続く見通しだ。

次世代住宅向け設備(7機器)の市場規模推移(クリックで拡大) 出典:矢野経済研究所

 調査では、太陽光発電システム市場の減少傾向は2020年度まで続く見込みとしている。その結果、2020年度の次世代住宅向け設備市場は、2016年度比70.6%の5074億2000万円になると予測する。一方、既に市場が形成されている太陽光発電システムと、社会インフラ的要素を持つスマートメーターを除く5品目は、2020年度には2016年度比142.3%の1784億2000万円と増加傾向になるとの予想だ。

次世代住宅向け設備(太陽光発電、スマートメーターを除く5品目)の市場規模推移(クリックで拡大) 出典:矢野経済研究所

 このように、2017年度以降市場拡大に向けては、HEMSなどの需要が見込めるZEHの普及と余剰電力の蓄電が鍵を握るとみられる。政府は自社が受注する住宅のうち、ZEHが占める割合を2020年までに50%以上とする目標を宣言・公表したハウスメーカー、工務店、建築設計事務所などを「ZEHビルダー」として認定する制度を設けるなど、ZEHの普及に向けた施策を進めている。ZEHビルダーは公募開始から6カ月で3600社の登録があった。2017年8月時点では6070社と、その後も増加しているようだ。

 調査では次世代住宅向け設備が今後拡大していくためには、機器コストの低下が不可欠だとする。政府が提示しているZEH仕様は、通常の住宅よりも約300万円の追加費用が必要といわれている。新築住宅を計画している世帯でも、ZEH仕様を選べるのは比較的経済力が豊かな世帯に限られているのが実状だ。

 また、導入コストを考えた場合、環境配慮や、省エネルギーおよびそれに伴う光熱費の低減といったメリットだけでは、消費者が次世代住宅向けの設備を購入するための動機付けとしてはやや弱く感じられると指摘。

 これらの解決策としてポイントとなるのが、HEMSなどを活用した新たな付加価値の提供だ。HEMSで取得・管理するデータを活用することにより、エネルギー面だけでなく、安全・安心、福祉、健康増進など、住宅を舞台としたさまざまなサービスの拡充が必要になるとしている。

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