2030年自然エネルギー30%へ、自治体の協議会が提言自然エネルギー(3/3 ページ)

» 2017年09月04日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]
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 続いて、指定都市 自然エネルギー協議会の政策提言「自然エネルギーによる持続可能な社会の構築に向けた提言〜自然エネルギーによる強靭なまちづくり〜 」の抜粋を紹介する(編集注:一部の漢字表記などの表現を修正しています)。

提言1.自然エネルギーの最大限の導入に向けた目標値の設定

 2015年7月に、エネルギー基本計画を踏まえ策定された「長期エネルギー需給見通し」では、2030年の自然エネルギーの割合を22%から24%程度と示している。しかし、2016年12月時点の再生可能エネルギーの設備導入量は、FIT制度開始後に認定された容量の約38%でしかなく、増加のポテンシャルはまだまだ大きい。そのため、今年度見直しに着手するエネルギー基本計画については、2030年の電源構成において、自然エネルギーの割合を30%程度とする積極的な目標値を示すこと。

提言2.自然エネルギーの最大限の導入に向けた対策

  • 1.地産地消型の分散型エネルギーの普及拡大

 平時の低炭素化だけではなく、災害時のエネルギーセキュリティの確保といった防災の観点も踏まえ、系統に接続した分散型エネルギーに加え、系統に接続していない状態(オフグリッド)での地産地消型自然エネルギーの導入についても関係省庁が横断的かつ、積極的に支援を行うこと。

 エネルギーの効率的な利用に向けた支援:大型蓄電池、エネルギーマネジメントシステム、バーチャルパワープラント、ゼロエネルギーハウス・ゼロエネルギービルなど。

 未利用熱やコージェネレーションシステムの普及拡大に向けた支援:排熱、太陽熱、地中熱、下水熱の有効利用、熱導管を含めた熱利用システムの実証・導入など。

  • 2.FIT制度の適切な運用

 今年度より大規模太陽光発電施設の入札が開始されるが、これが国民負担の軽減につながっているか等の成果を検証するとともに、制度の運用において地域の自然エネルギーの普及を妨げないように実施すること。

 太陽光発電の長期安定電源化実現のため、必要な措置を早急に講じること。あわせて、太陽光パネルの耐用年数経過に備え、リサイクル技術の確立、再利用を円滑に実施できる制度、安全な廃棄や処分のルールを策定するとともに、地域ごとのサポート体制の構築を図ること。

  • 3.エネルギーシステム改革の着実な推進

 自然エネルギーが最大限導入されるよう、地域間連系線の「間接オークション方式」の制度設計を行うとともに、既存の電力系統のさらなる活用を促進すること。あわせて、「広域系統長期方針」において北海道、九州エリアなど、自然エネルギー導入適地からの送電網への接続可能量を最大化することを位置づけるよう、引き続き国が指導すること。

 従来の託送料金制度では電力系統の双方向化等が考慮されておらず、分散型エネルギーの導入に託送料金のコストが大きな障壁となっている。IoT 技術の活用など、分散型エネルギーの普及を後押しするとともに、託送料金制度の抜本的な見直しを進めること。

 需要家に低廉で安定的な電力を提供するため、卸電力市場の自然エネルギーの取引量を増やし、市場の活性化を図ること。また、国が導入を検討している非化石価値取引市場においては、自然エネルギーの導入拡大を前提とするとともに、消費者が自由に選択できる制度とすること。さらに、発送電分離については、その実効性を確実なものとするため、一般電気事業者の小売部門と新電力との公正な競争を実現すること。

 水素社会の実現に向け、国民が水素に対する理解を深める機会を提供し、水素エネルギーの円滑な導入に向けた環境づくりを進めていく必要がある。また、太陽光やバイオマスなど自然エネルギー由来の電力を活用した水素は、我が国のエネルギー需給構造を変える可能性があることから、「ためる」、「はこぶ」、「つかう」といった仕組みを展開していく必要がある。

 そのため、国においては、省庁横断的に水素ステーションなどのインフラ整備や、住宅用・産業用燃料電池の利活用、FCVやFCバス等の導入を着実に推進し、設備導入に対する財政支援を行うこと。また、平時のみならず、災害時にもエネルギーの供給体制が適切に機能する分散型電源としての観点からも、自動車からの外部給電などの仕組みの構築を支援すること。

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