これまでエネルギーは、集中的に発電され、一方通行で供給されたもの利用するしかなかった。それがこれからは、分かち合う時代、互いにシェアする時代に向かう。それは、「参加する一人一人が相互に信頼し合い助け合って管理していこうという共助・共同管理の考え方」をもつブロックチェーンの思想にフィットする。
ブロックチェーンは、外出先でも海外でもエネルギーを自由に利用したいというニーズをかなえてくれる(とはいえ、ブロックチェーンもすべてが万能ではない。例えば、リアルタイムでの確認処理や秘匿性が苦手である。これらは、これからの技術でカバーできるかどうか楽しみなところだ)。
今、多くの業界で起こっている地殻変動。その原因の根底にあるのは、私たちの生き方や考え方の変化とそこから新たに生まれてくるニーズだ。その波に呼応して、エネルギーの在り方もおのずと形をかえていく。
ブロックチェーンは、本当にエネルギー業界にインパクトをもたらすのか?
私の考えでは、エネルギー業界に多大な影響をあたえる。影響を与えられた個人もそしてエネルギー企業も存在価値を変えていく。個人は、エネルギーを今まで以上に柔軟に利用し、生活を豊かにしていく。そして、エネルギー企業は、分散して発電された電力をマネジメントするなどの形で個人をサポートすることで成長していくだろう。
未来のエネルギー企業は、電気の発電、販売にとどまらない。省エネや関連したサービスを提供することで顧客に対して価値を提供していく存在になる。また、どのPCが売れても常に利益を出し続ける、半導体企業のインテルのように自動車、住宅、家電業界と協業し、これまではありえなかった形でエネルギーの提供を模索する企業も生まれる。
著者:江田健二
「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広くつたえること」「デジタルテクノロジーと環境・エネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆/講演活動などを実施。富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。 アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。 エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。その後起業、環境・エネルギービジネスの推進や企業のCSR活動を支援している。 RAUL株式会社 代表取締役、一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人エコマート運営委員。著書に『3時間でわかるこれからの電力業界』『エネルギーデジタル化の未来』『スマホでサンマが焼ける日』など多数。
一般社団法人エネルギー情報センター
エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること、ITとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造することを目的に設立、運営。多くの人・組織が共に学び、考え、協力していく『場』となるプラットフォームを提供していきます。
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