急に発電量が落ちた時、太陽光パネルをどう検査すべきか太陽光(2/2 ページ)

» 2017年10月16日 07時00分 公開
[Bernhard Gluck/ADLER Solar Worksスマートジャパン]
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モジュールの検査には複数の手法アリ

 既に稼働中の太陽光発電所に設置されたPVモジュールの不具合について、複数の検査手段がある。検出結果により、パフォーマンス低下を引き起こしている異なる原因を検知できる。

 1つが、IV曲線トレーサー機を使用する方法だ。単体のPVモジュールもしくは、直列ストリングに含まれる複数のモジュールの出力量を日中に検査できる。モジュールを架台から取り外す作業が省けるメリットがあるが、発電所の現場で実施する検査については精度が低く、5〜6%の不確実性が含まれる。

 赤外線を利用したサーモグラフィ(IR)検査と、エレクトロルミネッセンス(EL)検査では、PVモジュールに発生している目視では捉えにくい不具合を特定しやすい。高い頻度で系統的な不具合が発生している場合、発電量の低下を間接的に特定することができる。例えば、全モジュールの1%(1MWpにつき40個)にダイオード故障が発生している場合、発電量ロスは0.3〜1%である。

 専門の検査設備を用いれば、2.5〜5%の精度でモジュールの不具合を特定することも可能だ。検査施設または移動式PVテストカーにおける、フラッシャー技術を用いた検査や、トラッキング・システムと高精度の日射センサーを組み合わせた太陽光で行われる計測手段もある。この中でモバイルテストカーは、大量のモジュール検査が可能で、1枚あたりの検査コストを低く抑えられるメリットもある。

筆者プロフィール

Bernhard Gluck(ADLER Solar Works)

2011年より、太陽光発電業界において独立系専門家・技術コンサルとして従事。モバイルPVテストカー(移動式PV検査センター)を使用した検査、詳細なパフォーマンス分析、発電量予測のスペシャリスト。モジュールメーカーや保険会社に対して、モジュール試験設備の操作、調査業務を提供。シニアプロジェクトマネージャー、技術アドバイザー、O&Mサービスの専門家としてADLER Solar Worksに2015年より勤務。2006年ハイデルベルク大学卒、物理学学位取得。2011年エアランゲン・ニュルンベルク大学修了、博士(理学)。


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