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» 2017年10月18日 07時00分 公開

自然エネルギー:風力発電を大量導入しても系統安定、東工大が新型の制御手法 (2/2)

[松本貴志,スマートジャパン]
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個々の風力発電機単体で設計、適用可能なプラグイン型制御技術

 プラグイン型制御技術は、同大の石崎助教らによって提案されたレトロフィット制御理論を基礎として構築される。レトロフィット制御理論は、非常に多数のサブシステム(火力発電機、風力発電機、電力消費者群など)で構成される制御対象の電力システム全体が、風力発電機など個々のサブシステムに適用される制御アルゴリズムによって、電力システム全体の制御性能が向上することを示した理論となる。

プラグイン型制御技術の概要(クリックで拡大) 出典:JST

 個々の発電機に適用される制御アルゴリズムは、既存のPI制御器の出力をレトロフィット制御器が補正して回転子電圧を操作するもの。レトロフィット制御器は、自身の発電機数理モデルのみを参照して設計を行うことができ、風力発電機の計測値や回転子電流の設定値を用いて補正値を計算する。

 加えて制御アルゴリズムには、注目する風力発電機の数理モデルのみから構築される数値シミュレーターが内在するという特徴を持ち、複数の制御アルゴリズムの干渉による悪影響を防止する。よって、系統安定性を失うことなく、個々の事業者が独立して制御アルゴリズムのパラメーター調整などを行うことも可能となった。

 模擬電力システムに風力発電機を連系したシミュレーションを行った結果により、プラグイン型制御技術を用いた場合は用いなかった場合と比較し、速やかに擾乱の影響が除去され、系統安定度が向上していることが示されたとする。

模擬電力システムに1基の風力発電機を連系したシミュレーション結果 出典:JST

 さらに、2つの風力発電機が異なる事業者によって導入された状況を想定し、プラグイン型制御技術により、個別に制御アルゴリズムを適用した場合のシミュレーションも実施。風力発電機1付近で擾乱が発生した際には、事業者1の制御アルゴリズムによって、擾乱の影響が除去されている一方で、事業者2の制御アルゴリズムは風力発電機1の擾乱に対しては作動していない。このシミュレーション結果により、異なる制御アルゴリズムが同時にそれぞれの発電機に適用されていた場合でも、互いに影響を及ぼすことなく、電力システム全体の系統安定度が向上されるとした。

2つの風力発電機が異なる事業者によって導入された状況のシミュレーション(クリックで拡大) 出典:JST

 今後は、風力発電に加えて太陽光発電や蓄電池も含めた、さらに複雑な模擬電力システムを用いてシミュレーション実験を行い、実際の電力システムへの適用を目指すとしている。

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