海の酸性化は予想より早く進行、気象庁が情報提供へ:自然エネルギー(2/2 ページ)
気象庁は、海洋酸性化に関する今回の解析に新開発の新手法を用いた。2隻の気象庁観測船による北西太平洋海域の観測データを含め、国際協力により海洋の二酸化炭素観測データベースを構築。
左:気象庁観測船の観測網 右:海外観測網と日本の担当領域(クリックで拡大) 出典:気象庁
気象庁は、データベースから水温や塩分を因子とした推定式を開発。衛星などより得られた海洋全域の水温や塩分などを代入することで、海洋酸性化のデータセットを得ることができたとしている。
気象庁が開発した解析手法(クリックで拡大) 出典:気象庁
人間活動による二酸化炭素排出は、地球温暖化のみならず海洋酸性化といった環境問題の主要因と推測されている。気象庁は今回の発表で、海洋酸性化について地球温暖化対策や生態系の保全にとって重大な問題であるものの、その実態と影響は解明されていないとして、海洋の監視を継続して科学的知見を集積していくことが必要だと主張した。
海洋酸性化のデータは、気象庁のWebページより閲覧、ダウンロードできる。
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