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» 2017年12月04日 06時00分 公開

情報化施工:建機の遠隔操作、次なる躍進のカギは“5G”と“VR”

KDDIは、大林組およびNECと共同で実証をしている建設機械の遠隔操作に関して、「マイクロウェーブ展2017」で紹介を行った。5G(第5世代移動通信)とVR(仮想現実)で、さらなる建機遠隔操作の効率化を目指す。

[松本貴志,BUILT]

建機に複数台の4Kカメラを取り付け、低遅延で遠隔操作が可能に

 KDDIは、NECおよび大林組と共同で実証をしている建設機械の遠隔操作に関して、「マイクロウェーブ展2017」(2017年11月29〜12月1日、パシフィコ横浜)で紹介を行った。5G(第5世代移動通信)とVR(仮想現実)を活用し、さらなる建機遠隔操作の効率化を目指す。

実証の概要(クリックで拡大)

 本実証は、総務省の「5G総合実証試験」の一環として実施されているもの。5GプラットフォーマーであるKDDI、アンテナなど通信機器を提供するベンダーのNEC、建機ユーザーであり建機遠隔操作の開発経験を持つ大林組の3社が強みを生かし、2017年5月より大林組東京機械工場で実証を開始した。

 5Gは、現在セルラー通信で主流となっているLTEの次世代の通信規格。詳細な仕様は国際連携により策定中となるが、LTEと比較して約100倍(10Gbps)となる最高転送速度や約10分の1(1ミリ秒)となる低遅延特性などが特長となる。

 大林組が2012年に開発した建機遠隔操作システムは、建機に取り付けられた複数のカメラによって周囲を撮影し、遠隔制御室でオペレーターが撮影映像を確認しながら操作を行うもの。本実証は、この遠隔制御操作システムの通信を28GHz帯を利用した5Gに置き換えることで、オペレーターが確認する映像の高精細化(4K)と、建機操作に対する建機の動作遅延を減らすことが可能になった。

多数のカメラが取り付けられた遠隔操作バックホウ(クリックで拡大)

 また、大林組の遠隔操作システムは、建機に取り付けられた3Dカメラと、操縦席に設置された騒音・傾斜・振動センサーによって簡易VRに対応する。オペレーターは、3D眼鏡を着用することで、施工対象物との遠近感を実際の現場と近い状態で操作が可能となり、さらに遠隔操作席で実際に稼働する建機の状況を体感できるという。これら技術により遠隔での施工効率を20%向上させたとする。

左:1.4m3バックホウの簡易VR遠隔操作席 右:3D映像および簡易VRの有無による効率比較(クリックで拡大)

 作業員の立ち入りが危険な現場で有効な建機の遠隔操作。本実証は遠隔操作による施工の精度を更に高める技術として期待される。KDDIの担当者は、本実証の意義について5Gは規格策定中であるため、直近での実用化は難しいと前置きしつつも「まずは遠隔建機操作での活用においてどのような環境、場面で課題が出るかを洗い出し、今後の技術革新につなげる」と話した。

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