データドックは2018年1月22日、同社が運営するデータセンター「新潟・長岡データセンター」の開所式を開催した。最新鋭の運用設備を導入しつつも、長岡市の冷涼な気候を生かした空調とサーバ排熱による水耕栽培、地元経済や人材の活用を行うなど環境と地域に優しいデータセンターだ。
データドックは2018年1月22日、同社が運営するデータセンター「新潟・長岡データセンター」(新潟県長岡市)の開所式を開催した。AI(人工知能)やブロックチェーン処理などで高まる顧客の要望に対応した最新の運用設備を導入しつつも、長岡市の冷涼な“雪”と“外気”を用いて空調消費電力を大幅に削減したデータセンターだ。
開所式に先立ち、同社社長の宇佐美浩一氏が新潟・長岡データセンターの概要を説明した。高性能サーバやストレージなどを高密度に集積できる「大規模化」、自然災害に対し堅牢であり高セキュリティ性を確保した「安全性・信頼性」を高レベルで実現し、日本データセンター協会が定めるデータセンターの堅牢性やセキュリティ性能を示す基準「JDCC Facility Standard」で最高位のTier 4に適合しているという。
新潟・長岡データセンターでは「省電力」性能も追求する。サーバなどのIT機器は動作にあたって熱を発し、結露や静電気にも脆弱なため、データセンターでは空調により年間を通じて一定の温湿度に保たれている。
このように空調の役割は非常に大きく、一般的なデータセンターの消費電力で空調機器の占める割合は約4〜5割、PUE(Power Usage Effectiveness:施設全体の消費電力をIT機器消費電力で割った値で、1に近いほど高効率)は1.5〜2.0程度とされる。この空調消費電力を削減できれば省エネやCO2削減に貢献するだけでなく、データセンター運用コストの低減につながり価格競争力の源泉となる。
空調コストの低減に向けて同社が取った策は「雪氷冷房」と「間接外気冷房」のハイブリッド空調の導入だ。東京と比較すると長岡の年間平均気温は約3℃ほど低く、1〜6月・10月〜12月の気温が低い時期には外気の冷熱を空調の熱交換器によって取り込み、機械冷房(ヒートポンプ)は動作させない。
また、7〜9月の夏季では間接外気冷房を用いつつ、冬季に貯蔵した雪氷によって冷媒を冷却し、可能な限り機械冷房の動作を抑える。これによりPUEは1.19となり、首都圏型データセンターと比較して約38%のコスト削減を見込む。
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