外気と雪で冷やすデータセンターが長岡に開所、地方創生に大きな期待も自然エネルギー(3/3 ページ)

» 2018年01月25日 07時00分 公開
[松本貴志スマートジャパン]
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今後10〜20年間にかけて競争力を維持できるデータセンターの内部

 「今後10〜20年間競争力を維持できる」(宇佐美氏)データセンターとするため、空調以外にも高い性能を実現させた。

 ビッグデータ解析などのITトレンドに追従するため、昨今のサーバやストレージは高性能化に伴って集積が進んでおり、データセンターにも機器集積化への対応が求められている。新潟・長岡データセンターでは、国内データセンター最高クラスの1ラック当たりの最大供給電力を30キロボルトアンペア(kVA)、1m2あたりの床耐荷重3.0トンを実現した。

左:受変電室・UPS室に設置された分電盤やUPS(無停電電源装置) 右:発電機室に設置された重油焚きガスタービン。3基設置され、停電時には自動起動し電力を供給する。最大72時間分の燃料備蓄があるという。(クリックで拡大)

 この数値設定について宇佐美氏は「2018〜2019年に登場するストレージが1m2あたり2.0トンになると予測されており、これに対応するため」としており、機器を設置するラックも搭載量最大2トンのものを特注したという。

 また、ネットワークも新設データセンターとして充実させた。長岡―東京間を100ギガビット/秒(Gbps)、長岡―大阪間を10Gbpsの高速通信で接続しており、「日本全国のデータセンターをつなぐようなネットワーク網も構築し、パブリッククラウドへは東京のゲートウェイを通じてダイレクト接続している」(宇佐美氏)という。

 地震を含む自然災害にも入念に対策を施した。新潟・長岡データセンターの建設にあたっては、周辺に活断層がある地域を避け、堅固な地盤(地下2mでN値:60)を持つ土地を選定したとして、「新潟県中越地震発生時にも、データセンター立地地域は揺れが少なかったと聞いている」(宇佐美氏)という。建物自体にも免震装置や、洪水対策のため高さ2.5mの防水壁を配置している。

免震階に設置されたブリヂストン製免震ゴム装置とオイルダンパーで揺れ幅を60cm以下に抑える。堅固な地盤に支えられためベタ基礎が採用でき、工期も短縮された。(クリックで拡大)

首都圏に偏在するデータセンターを地方に移し、人材育成・産業新興へ

 開所式では、宇佐美氏があいさつの中で「首都圏に集中するデータセンターの地方分散化に一石を投じられないか、その過程で地方創生に少しでも貢献できないかという志を持って起業した」と語り、「地方創生の面では、現在約20人がデータセンターで働いており、(2018年)4月には新潟県の大学を卒業する新卒社員が3人入社することが決まっている」とする。

 さらに「順調に行けば2次工事を予定しているため、それなりに大きな雇用(創出)となる。量的な側面以外でも、IT領域で高い専門性を持つ人材を育成したいと考えており、県内の優秀な大学生が地元に残って仕事を行える機会を提供したい」(宇佐美氏)とした。

 新潟・長岡データセンターは2018年度上半期中に契約上の満床を目指し、同年度売上目標は20億円としている。

開所式テープカットの様子(クリックで拡大)
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