薄膜太陽電池の製造が簡単に、非結晶のポリマー材料を新開発太陽光

大阪大学らの研究グループは、アモルファス(結晶を作らず、乱雑に結合した状態)特性を持つ太陽電池材料の高性能化に成功。有機薄膜太陽電池の製造簡易化などへの貢献が期待できる成果という。

» 2018年02月01日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 半導体ポリマーを塗布して作る有機薄膜太陽電池。現在主流の結晶シリコン系の太陽電池と比較し、変換効率の部分では劣るものの、柔軟かつ軽量で、製造コストの安さにメリットがあり、建材などへの適用が期待されている。

 大阪大学産業科学研究所の家裕隆准教授らの研究グループは2018年1月23日、ドイツマックスプランク高分子研究所との共同研究で、アモルファス(結晶を作らず、乱雑に結合した状態)特性を持つ有機薄膜太陽電池材料の高性能化に成功したと発表。有機薄膜太陽電池の作製のさらなる簡易化が期待できるという。

 これまで有機薄膜太陽電池の高性能化は、結晶性の材料が有利と考えられていた。例えば結晶性のポリマー材料を利用した場合、太陽電池の薄膜活性層における正孔と電子の移動が有利で、10%を超える光電変換効率が得られた例もある。

 一方、研究グループは今回新たにアモルファス(非結晶)特性を持つポリマー材料を開発。これを利用して、光電変換効率が9%を超える太陽電池素子の作製にも成功した。これまでアモルファスポリマーで8%を超える光電変換効率を得ることは難しかったという。

 今回の成果により、アモルファス材料を利用しても有機薄膜太陽電池の高性能化に道筋がつき、簡便に成膜ができるなどの特徴を生かし、有機薄膜太陽電池作製法の簡便化や、大面積化の太陽電池の作製も容易になることが期待できるとしている。

開発したアモルファスポリマー、使用した素子構造、太陽電池特性および薄膜特性 出典:大阪大学

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.