日本企業で初の「RE100」加盟、リコーはなぜ再エネ100%を目指すのか自然エネルギー(3/3 ページ)

» 2018年03月27日 07時00分 公開
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再エネ活用、日本と海外では異なる戦略が必要

――日本国内だけでなく、海外拠点などではどのように再生可能エネルギーを活用していく計画でしょうか。

阿部氏 日本と海外で、推進の仕方は全く違います。つい、日本と世界という大きなくくりで考えてしまいがちです。でも実際は、世界とは、アジアなのか、米国なのか、欧州なのかといった単位で考える必要がある。これでもまだ単位としては大きく、実際の工場の立地に合わせた地域別の緻密な戦略が必要になります。

 米国のニュージャージー州にあるリコーの販売会社には、2017年4月に敷地内に太陽光発電設備を設置しました。この発電所によって、その事業所で利用する電力の約半分は再生可能エネルギーで賄うことができる見込みです。発電所を設置する際には、近隣5州にしか存在しない補助金を活用しました。太陽光発電設備による環境価値をクレジットとして販売すると、設備投資費用の補助が受けられるんです。

米国ニュージャージー州の販売会社に設置した太陽光発電設備 写真提供:リコー

 ただ、この補助金は米国全土で用意されているのではなく、州の政策です。そのため、実際に自社の拠点がどの地域にあるのか、そこで使える補助金はあるか、電力供給はどこから受け、再生可能エネルギーへ切り替えることは可能かなど、さまざまな点を細かく見ていく必要があります。

 リコーは中長期の経営計画に沿った環境目標をグローバルレベルで設定しています。各局、各社、各部門が具体的な推進計画を立て、グループ全体での目標達成を目指しています。

 リコーでは2002年に、これから目指すべき社会の姿として「3Psバランス」という概念を提唱しています。具体的に3つのPとは、Prosperity(持続可能な経済)、People(持続可能な社会)、Planet(持続可能な地球環境)を指し、この3つのバランスが重要と考えています。このバランスを保ち、持続可能な地球環境を実現するために、RE100加盟時に掲げた、2050年までに100%再生可能エネルギーを活用という目標を達成できるよう、チャレンジをしていきたいと思います。

筆者プロフィール

株式会社横浜環境デザイン 経営戦略部 秘書室 福村亜矢(ふくむら あや)

新規企画のプロモーションやイベント企画を主に担当。環境関連のエキスポの運営担当。各種メディアへのプレス、メディア対応を担当。グループ会社アドラーソーラーワークスの企画としてO&M関連の企画広報にも携わり、ドイツ連邦経済技術省下のドイツエネルギー機構(dena)が世界的規模で展開する、ドイツ発再生可能エネルギー・イニシアチブの一環として提供される日独共同のプロジェクトとして、「PVトレーニングセンター横浜」のオープニングセレモニーも開催し、成功を収める。


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