どう影響する? 国交省がプロジェクションマッピングのガイドラインを策定行政インタビュー(1/2 ページ)

国土交通省は2018年3月30日、プロジェクションマッピング実施の環境整備を後押しする「投影広告物条例ガイドライン」を公表した。国土交通省 景観・歴史文化環境整備室 渡瀬友博室長にガイドライン策定の目的などを聞いた。

» 2018年04月09日 06時00分 公開
[石原忍ITmedia]

 国土交通省は2018年3月30日、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、全国的な広がりが予想されるプロジェクションマッピング技術に対して、全国の自治体における条例の指針となる「投影広告物条例ガイドライン」を公表した。

 東京五輪まであと2年と迫るなか、ガイドラインによって、プロジェクションマッピングが今後、どのような形で広がっていくか、国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 景観・歴史文化環境整備室 渡瀬友博室長に「投影広告物条例ガイドライン」の目的と概要を聞いた。

国交省 渡瀬友博室長

――ガイドライン策定の背景を教えてください。

渡瀬 近年、プロジェクションマッピングに関する技術革新が世界的に大きく進展しており、世界各国の主要都市で、プロジェクションマッピングを活用したイベントなどが開催され、都市のにぎわいが創出されている。国土交通省としてもプロジェクションマッピング実施の環境整備を進めることは、都市の魅力を高める上で重要であると考えている。

 プロジェクションマッピングの実施に関連する主なルールとしては、各自治体が屋外広告物法に基づき定めている条例がある。しかし、ルール策定を各自治体に委ねるのではなく、国が自治体の指針となるガイドラインを定めるべきだと考えた。

 自治体が条例の改正を実施するためのスケジュールも考慮し、「ラグビーワールドカップ2019」や「2020年東京オリンピック・パラリンピック」に間に合うように、今回ガイドラインを策定した。

――規制? 緩和? ガイドラインの目的は何でしょうか?

渡瀬 「投影広告物条例ガイドライン」は緩和の考え方。屋外広告物法の対象となる「屋外広告物」では、「建物等に表示されたもの」も含まれる。全国の自治体で運用されている屋外広告物条例では、プロジェクションマッピングについても、看板と同様の規制がかけられている例がほとんどだが、特に表示面積で厳しい制限がかかる。そのため、今回策定したガイドラインをベースに、自治体が条例の見直しなどを行い、プロジェクションマッピングが、都市の魅力を高めるイベントとして全国で展開されることを期待したい。

――実際の規制内容はどのようなものでしょうか。

渡瀬 プロジェクションマッピングの技術は日進月歩。特に、落下事故が発生し得る看板などと比較すると、安全性への影響が極めて少ない。このため、公益性があり、期間限定で行われるものについて、例えば東京五輪の100日カウントダウンなどは、適用除外とした。

 また、商業地域のビルや工業地域の工場外壁を使用した投影など、夜の観光資源を充実させる「ナイトエコノミー」を推進する動きも考慮して、禁止地域についても、用途地域の中でも住宅地などの住居系のみに限定した。

プロジェクションマッピングが可能なエリア※図はイメージ 国交省提供

渡瀬 さらに、従来の規制では街路樹や電柱、石垣には広告物を表示することができなかったが、光が当たることで認識できなくなり、交通安全に支障を与える可能性がある信号機や道路標識といった物件に限り、表示を禁じることとした。

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