AIとナッジ理論で省エネ提案、省エネ法対応が必要なスーパー向けにIT活用

新電力のアイ・グリッド・ソリューションズが、AIを活用した省エネ支援システムを開発。法改正で2018年度から省エネ法ベンチマーク制度の対象に追加されたスーパーマーケットなど向けに展開を開始する。

» 2018年04月17日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 アイ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区)と伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2018年4月、店舗や事業所の使用電力量の予測を行うAIシステムを共同開発したと発表した。アイ・グリッド・ソリューションズはこのAIシステムを活用し、省エネアクションの提案までを行うエネルギーマネジメント支援サービス「エナッジ」を2018年5月21日から提供する。まずはスーパーマーケットなど流通・小売業やアミューズメント業から展開し、今後順次対応する業種を拡大していく予定だ。

 省エネ法改正により、2018年度からベンチマーク制度の対象業種にスーパーマーケットが追加されることになり、省エネ対策の必要性が高まっている。一方、現状は店舗従業員の業務負荷の課題、追加コストの問題などから、省エネ・電気代抑制のニーズがあるにもかかわらず、エネルギー利用の効率化は停滞気味な状況だという。

 今回、両社は予報気温に応じ、店舗ごとに24時間先までの使用電力量を予測するAIを共同開発した。AIによる使用電力量の予測は、アイ・グリッド・ソリューションズが日本全国で流通・小売業やアミューズメント業など約6000の店舗や事業所に導入しているエネマネサービスの蓄積データを活用。開発にはGRID社の深層学習や最適化アルゴリズム、生成モデルなどさまざまなアルゴリズムをライブラリとして備えているAI開発フレームワーク「ReNom」を利用した。

 このAIシステムを実装したエナッジは、省エネのノウハウを生かした省エネアクション提案を組み合わせた、エネルギーマネジメント支援サービスだ。自発的な行動変容を促す行動経済学の「ナッジ理論」を取り入れ、店舗ではタブレット端末などを通して、エネルギー利用状況や使用電力量の予測、その分析を踏まえた「今日の省エネTO DO」を従業員に通知する。

 本部では全店舗の電力使用に関するデータを統合して閲覧できる他、異常値の検出やメッセージ機能を活用した各店舗との連携が可能だ。エネルギーマネジメントの業務負荷を軽減し、本業に集中しながら電気代抑制に取り組めるとする。さらに、AIを使った使用電力量の予測を生かして、電気基本料金の計算の根拠となる最大需要電力(デマンド値)に対するマネジメントや電力の使い方に対する評価なども支援する。

「エナッジ」の店舗管理画面(左)と本部管理画面のイメージ 出典:アイ・グリッド・ソリューションズ

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