商業施設をロボットで清掃、三井不動産が実践導入FM

三井不動産は2018年3月からショッピングセンターに清掃ロボットの導入を開始した。施設管理業務の省人化や効率化に生かすという。

» 2018年04月20日 06時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 三井不動産は2018年3月からショッピングセンター「ダイバーシティ東京プラザ」(東京都江東区青海)に、清掃ロボットの導入を開始した。ロボット開発ベンチャーのCYBERDYNE(茨城県つくば市)が開発した清掃ロボットで、施設管理業務の省人化や効率化に生かすという。

導入した清掃ロボット

 三井不動産はICT活用による施設管理業務の省人化を推進しており、現在も複数施設でさまざまな技術の導入を検討している。その取り組みの1つとして、2017年11月から年末にかけて、ダイバーシティ東京プラザでサイバーダインが開発した「清掃ロボット CL02」(以下、CL02)を導入する共同実証を実施してきた。

 その結果、従来の清掃ロボットでは技術的に対応が困難であった、商業施設特有の「吹き抜けなどの大空間」や「曲面がある複雑な形状」における清掃といった課題をクリアしたため、今回導入を決めたという。

3フロアを4時間で清掃

 今回、導入したのは1台で、ダイバーシティ東京プラザの3〜5階(カーペット床)、合計約3000m2(平方メートル)を深夜に約4時間かけ清掃する。ほこりの集積度をレポートする機能によって汚れやすい場所の特定も可能だという。ただ、「壁際や隅の清掃は人手で行う」(三井不動産)とし、これまで清掃スタッフ使用していた搭乗式清掃機の代替として用いる。ロボットの階の移動は自動ではなく、清掃スタッフらが持ち運ぶ。

 導入費用はセットアップ料金とレンタル料金をCYBERDYNE側に支払う。レンタル料金については、契約期間と導入台数により変わるが、「目安として3カ月契約の場合、1カ月当たり12万円」(CYBERDYNE)とする。

 CL02を開発したCYBERDYNEは、2004年に筑波大学発ベンチャーとして設立。主力製品のロボットスーツ「HAL」は、医療・福祉の分野だけでなく、介護や重作業分野などにも幅広く展開されているという。この他、AI(人工知能)やセンシングによる環境認知機能を搭載した清掃ロボット、搬送ロボットなどの開発にも積極的に取り組んでいる。

 今回導入したCL02は、半径30mのエリアで自分の位置を感知できる高感度レーザーセンサーをはじめとする各種センサーを搭載。周囲の情報を取得し、建物内部の形状と清掃経路を認識・記憶する。そのため磁気テープやマーカーなどの誘導線がなくても走行できる他、清掃経路の自動パターン生成機能も備える。CL02は従来モデルと比較して走行スピードが速く(最速時速4km)、広いエリアを自律走行するとともに、自社開発の3Dカメラを用いてロボットの進行方向の障害物を立体的に検出したり、清掃後に清掃エリアのごみ分布マップを作成したりできるなど、より高度な機能を搭載した。

ロボットが掃除した経路の確認も可能。ゴミが多いエリアを可視化する機能も

 経路変更も現場のスタッフが簡単に行えるという。バッテリーの持続時間は2時間。カートリッジ式でバッテリーは複数搭載可能。本体内にほこりをためるごみパックは、市販のものを利用できる。サイズは、620×480×470mm、バッテリーを含む重量63(バッテリー含む)。CYBERDYNEでは今後も、商業施設や空港などさまざまな大型施設での活用を見込んでいる。

 三井不動産では、ダイバーシティ東京プラザでの導入後、2018年度中にも「三井ショッピングパーク ららぽーと」など、他の商業施設への導入も検討している「大型のショッピングセンターを中心に、カーペット床のある十数施設には適用できるとみている」(三井不動産)。

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