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» 2018年05月02日 07時00分 公開

自然エネルギー:海流発電の早期実用化へ、NEDOが実海域での長期実証を決定

NEDOは新たに海流発電の実用化に向けた長期の実証事業を採択した。助成先はIHIで、開発した水中浮遊式の海流発電システムを実際の黒潮海域で1年以上にわったって運用し、発電能力や経済性などを検証する。

[長町基,スマートジャパン]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、実海域における海流発電システムの実証事業「水中浮遊式海流発電システム発電事業に係る実証試験」を採択した。2018年度から黒潮海域で、1年以上の長期にわたり発電能力や設備の耐久性、経済性などを検証するためのフィージビリティ・スタディ(FS)を実施する計画だ。

 2013年4月に閣議決定された「海洋基本計画」、2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」、2017年4月に公表された「再生可能エネルギー導入拡大に向けた関係府省庁連携アクションプラン」などで、海洋エネルギー発電に関わる技術研究開発や技術実証を実施・推進する方針が示された。また近年、内閣府総合海洋政策推進事務局によって、実証試験のための海域を提供する「実証フィールド」の公募が行われ、2017年6月に鹿児島県十島村口之島・中之島周辺を追加し、現在、岩手県(釜石市沖)、新潟県(粟島(あわしま)浦村沖)、佐賀県(唐津市加部島沖)、長崎県(五島市久賀島沖、五島市椛島(かばしま)沖、西海市江島・平島沖)、沖縄県(久米島町)の6県8海域が選定されている。

 NEDOではこれまでに、海洋エネルギー発電技術の開発と低コスト化を目的とした事業を2011〜2017年度にかけて実施してきた。その結果、事業化の際のコスト目標設定に役立つデータが得られるとともに、実海域などでの試験を通じて発電性能や安全性を確認するなど、優れた成果を上げているという。

海流発電装置の実証のイメージ 出典:NEDO

 こうした中で、今回、NEDOは実海域における海流発電システムの実証事業を採択した。同実証事業では、離島向けの分散型電源として活用が期待される海流発電システムの実用性を見極めることを目的に、黒潮海域で、1年以上の長期にわたり発電能力や設備の耐久性、経済性などを検証するためのFSを行う。

 FS実施後、実用化の可能性および事業性の判断を行った上で、長期実証研究を実施し、2030年以降の海洋エネルギー発電の早期実用化を目指す方針だ。なお、助成予定先はIHIで事業期間は2018〜2020年度。事業予算は22億円(NEDO負担分)となっている。

 IHIはこれまで2017年にNEDO事業の一環として、水中浮遊式の海流発電装置を開発している。海底に設置するシンカー(おもり)と特殊なロープで水中に浮遊させるように設置し、海流で大型のタービンを回転させて発電する。同年12月には鹿児島県沖で実際の海流を利用した実証を行っており、30kW(キロワット)の発電に成功している。

IHIが開発した海流発電システム 出典:NEDO

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