国交省、透光性遮音板の要求性能で意見募集

国土交通省は高速道路などに設置されている透過型の遮音板に関して、要求性能や試験方法をまとめ、これに対する意見を6月11日まで募集している。

» 2018年05月15日 16時40分 公開
[石原忍BUILT]

 国土交通省は2018年5月11日、道路に設置する透光性遮音板の要求性能に関する意見の募集を開始した。新技術情報提供システム(NETIS)のテーマ設定型技術公募に先立つもので、募集期間は2018年6月11日まで。

 透光性遮音板は、高速道路の騒音対策で設置されている遮音壁の一部にみられる透明タイプのパネル。日照阻害の緩和や眺望の確保、運転者の圧迫感を軽減する目的で設置されている。素材には、耐候性や吸音などの機能を持たせるため、主にポリカーボネートやアクリル、ガラスが採用されることが多い。しかし、太陽光による劣化で、黄ばみや曇りが生じることがあり、性能の確保が今まで課題となっていた。

透光性遮音板の設置例 出典:NEXCO東日本

 今回の募集にあたって、同省がとりまとめた性能評価は、音響性能、強度、耐衝撃性能、耐燃焼性能、耐飛び石性能、耐久性能、視認性能の7項目。それぞれに性能評価の指標と、JISまたはNEXCOに準じた試験方法を設定している。寄せられた意見は、評価項目および試験方法を設定する際の参考にされるという。

 各性能をみると、基本性能となる音響性能では、直接音を遮蔽(しゃへい)する減音比として、400Hzおよび1000Hzにおける音響透過損失を測る。

 安全性能では4つのうち、強度は風荷重で橋梁(きょうりょう)部は2.0kN/m2(キロニュートンパー平方メートル)以上、土工部は1.5kN/m2以上。耐衝撃は、遮音板への車両衝突などによる破損時の部材飛散状況で、飛散防止率と最大破片の重量を計測する。耐燃焼は、上限値60分の燃え抜けがない燃焼時間。60分以内に燃え抜けた場合は、そこまでの時間。耐飛び石は、目視による損傷程度を評価する。

 製品の耐久性では、ポリカーボネート、アクリル、ガラスなどの材料を対象に、促進暴露で5000時間後の曇り具合と、黄変度を確認する。視認性では、周辺住居の日照と眺望、交通安全上の視認性を確保するため、全光線透過率を促進暴露5000時間後で判断する。

 意見募集の対象者は透光性遮音板やその材料に関わる研究者・発注者・設計者・施工者・製造者・その他一般。応募方法は、電話・紙での応募は受け付けず、メールでの応募に限る。担当課は、国土交通省 近畿地方整備局 企画部 施工企画課。

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