太陽光発電のトラブルにつながる雑草、知っておきたい代表種基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(2)(2/4 ページ)

» 2018年06月04日 07時00分 公開

2.カヤ(茅、萱)

カヤの1種であるススキ

【分類】 イネ科 多年生植物 茎長1〜3m 日本固有

【国内分布】 ほぼ全国に分布しており、帰化などもあります。日本ではとても馴染みのある草種です。古くは家屋の屋根材として使用されていました。

【太陽光発電所ならではの特記事項】 カヤには多くの種類があり、ススキ、チガヤ、カモガヤなどはその一種になります。また、地下茎があるため草刈をしても枯れることなく、茎がすぐに伸びてしまうため年に何度も草刈が必要な場合が多いです。

トラブル事例

【発電事業/直接リスク】

 茎長が長く成長が早いため、太陽電池モジュールに影を落し、発電量低下とホットスポット発生の原因になります。また、年々総量が増えていく傾向が強いため、毎年、草刈及び廃棄費用が増大している場合が多く見受けられます。

【近隣・地域/直接リスク】

 種子が近隣に拡散し、近隣に迷惑をかけることがあります。また、農業や緑化に悪影響を及ぼすため、非常に苦情が多く、近隣関係を良好に保つための注意と努力が必要です。

3.クズ

フェンス一面を覆ったクズ

【分類】 マメ科 多年生植物 茎長10m以上 日本固有

【国内分布】 全国に分布しています。地面に這うツル性植物で、他のものに巻きついて伸びます。地中には長芋の塊根となり、古くからクズ(葛)料理の材料として利用されてきました。

【太陽光発電所ならではの特記事項】

 よく「ツル」という名前でご相談が多い草種です。発電所ではフェンスや電柱に巻きついているのが見受けられます。フェンスから伸びたクズがアレイに巻きつき、太陽電池モジュールを覆っている事例もあります。クズは多年生植物ですので、秋以降に枯れますが、翌年には地中に残った塊根より生育がはじまり、前年以上に植生範囲が増えます。

 さらに伸びた茎が地面と触れたところで根を出すため、植生範囲が広がり、茎は木質化し、フェンスを2〜3年で覆いつくしてしまう例をがよく見受けられます。よって、防除作業に費用がかかり、敷地外にも拡大して植生するため、発電事業者の方が対策に悩んでいる草種です。

トラブル事例

【発電事業/間接リスク】

 フェンス全面に覆ったクズが原因で、フェンスの風通しが悪くなり、台風、強風時にフェンスが傾いたり、倒壊した事例が多く見受けられます。

【近隣・地域/間接リスク】

 フェンスから伸びたクズが隣の敷地の植木、植物を覆い、光合成を阻害するため、枯らしたりする苦情があります。また、倒壊したフェンスが通行を妨げたり、他の敷地の構造物に危害を加える可能性もあります。

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