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» 2018年06月12日 06時00分 公開

コンクリートを装飾?凸版印刷が特殊インキで開発に成功

凸版印刷は、コンクリートに直接デザインを施せる特殊インキを使った新印刷技術を開発した。タイルの代わりとして外壁加飾市場や擁壁ブロックへの導入を見込み、デザイン受注も含めて販売展開していく。2018年6月7日に凸版印刷本社で、実物を前に、なぜコンクリートの加飾なのか、開発意図などを担当者に聞いた。

[石原忍,BUILT]

 凸版印刷は2018年6月5日、コンクリートの硬化を遅らせる特殊インキを用いて、コンクリートに直接デザインを付与できる加飾工程紙「べトンフィット」を開発した。コンクリートの製造工場やゼネコン、デベロッパー向けに、2018年6月5日から、タイルの代わりとして外壁加飾市場や擁壁ブロックへの導入を見込み、デザイン受注も含めて、本格的に販売展開する。

特殊インキを使った印刷技術で、生コンに自在なデザインが可能に

 べトンフィットは、コンクリート型枠の底に敷き、その上に生コンクリートを流し込んで、一定期間の養生後に固まったあと、水洗いすることでコンクリートの内面が露出して絵柄が現れるという仕組み。

「べトンフィット」の作業工程=提供:凸版印刷

 特殊インキはコンクリートの硬化を遅らせる効果があり、ミクロン単位の塗布量の違いでコンクリートの凹凸を変えた細かい表現ができるようになる。プレキャストコンクリート製品でありながら、彫刻方式でしかできなかったコンクリートの表面色と内部色の2色で表現する。

 一例として、石の表面仕上げ方法で、石ノミを使って細かな平行線を刻みこんでいく、「小叩き仕上げ」は、これまで非常に手間がかかり、単価も高かった。べトンフィットであれば、原紙にベタ印刷するだけで、コンクリートの硬化後、水で洗い出す工程のみで、何枚も連続して作成できる。

左が特殊インキで印刷した工程紙。右がコンクリート=6月7日、凸版印刷

 従来の型押しや彫刻、タイル貼りなどの加飾とは異なり、印刷のため豊かなデザイン表現ができることもウリの1つで、仕上がりも事前にイメージがしやすい。金型も不要で、製品は最大柄ピッチ 幅1150mm×長さ2400mmのロール形状で供給することができるため、工期の短縮と大幅な生産性の向上がもたらされる。

幾何学模様の2パターン。上が特殊インキで印刷した工程紙=6月7日、凸版印刷

 ベトンフィットの設計価格は2万円/m2(平方メートル)。200m2から受注生産を受け付ける。製版費用はデザインによって異なるという。

 デザインについては、凸版印刷でもオーダーを受け付ける。社内にデザイナーを有し、化粧シートや壁紙の柄づくりを行っているノウハウを生かして、パターンが連続したつなぎ目にコツがいる幾何学模様などのデザイン提案もしていくという。

 凸版印刷 環境デザイン事業部の担当者は、「外壁に加飾する場合は通常タイルが用いられるが、落下の危険性やコスト面がネック。タイルに代わる提案をしていき、公園内のベンチに土地柄の意匠を施すことで、絵柄を付けたいニーズが多い擁壁ブロックなどへの導入も図っていく。まずはシートの周知を展開し、将来的には、ウッドデッキなど別の製品とも組み合わせて拡大していく」と話す。

 同社では、べトンフィットで、外壁加飾市場において2020年に関連の受注生産を含めて、約20億円の売り上げを目指している。

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