太陽光で南極点を目指すプロジェクト、帝人が支援

太陽光発電の電力で駆動するソーラーカーで、南極点を目指すプロジェク「Clean 2 Antarctica」を帝人が支援。ソーラーカーの軽量化や高強度化につながる材料の提供などを行った。

» 2018年06月18日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 帝人は2018年6月に迎える創立100周年記念プロジェクトの一環として、ソーラーカーにより南極点到達を目指すプロジェクト「Clean 2 Antarctica」(C2A)を支援する。

 C2Aは、オランダの冒険家であるEdwin ter Velde(エドウィン・テル・ヴェルデ)氏と、学生や若手専門家らにより展開されるプロジェクト。「変革に向けた冒険」をテーマに、使用済みペットボトルやプラスチックごみなどのリサイクル素材を使用した、太陽光発電の電力で駆動する環境配慮型のソーラーカーで、南極点到達に挑戦する。

プロジェクトで利用するソーラーカー 出典:Clean 2 Antarctica

 C2Aのメンバーは、2018年8月27日に大型帆船でアムステルダム港から出航。最初の寄港地であるカナリア諸島のテネリフェ島に到着する同年9月17日までの間に、課題として「将来、帝人が循環型社会を実現するリーダー企業となるための計画」を策定・提出することになっている。その後はアルゼンチン南部のパタゴニアに向けて航海を続け、同年12月にはソーラーカーで南極大陸西部のユニオン・グレーシャー・キャンプを出発し、南極点に到達する予定だ。これによりC2Aは、往復で2300km(キロメートル)の距離を走破することになる。

 帝人はC2Aの趣旨に賛同し、パラ系アラミド繊維「トワロン」パラ系アラミド繊維「テクノーラ」高機能ポリエチレンテープ「Endumax(エンデュマックス)」炭素繊維「テナックス」ポリカーボネート樹脂「パンライト」などソーラーカーの車体や構造材向けの軽量・高強度素材の提供や、タイヤの設計解析サポートなどを通じて、同プロジェクトを全面的に支援する。

 提供する・素材・製品のうち、トワロンは鉄の6倍の強度と5分の1の軽さという特性を持ち、車体の床下に使用することで、南極大陸の鋭利な氷面から受ける衝撃への耐久性向上と、車体の軽量化に貢献する。テクノーラは鉄の8倍の強度により、耐衝撃性、耐疲労性、耐薬品性に優れている。車体の補強用、およびソーラーパネルの角度などを調整するロープ用として使用する。エンデュマックスは剛性、寸法安定性、耐久性に優れ、鉄の11倍の強度を持つ。このエンデュマックス使用のロープをタイヤの周囲に巻きつけ、寸法安定性や転がり抵抗、けん引力の向上を実現する。

 この他、3Dプリントによって成形されたPET製の車体を高強度、高弾性のテナックスでラミネートすることにより、車体の強度向上や軽量化を実現する。さらに、軽量で寸法安定性に優れ、ガラスの200倍の耐衝撃性を持つパンライトに、太陽光線を遮へいするための加工を施した樹脂グレージングを、ソーラーカーの窓に使用する。

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