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» 2018年06月26日 06時00分 公開

立命館が開発した建設向けウェアラブルIoTシステム (1/2)

立命館大学は2018年6月29日、建設現場向けに開発したウェアラブルIoTシステムの実証実験を熊谷組が施工を担当している大阪市の工事現場で行う。実証実験に先立ち、IoTシステムのプレスセミナーを東京・千代田区の立命館東京キャンパスで開催した。

[石原忍,BUILT]

 立命館大学は2018年6月21日、東京・千代田区の東京キャンパスでスマートウェアを活用したIoTシステムの説明会を開催した。開発には、立命館大学テクノロジーマネジメント研究科准教授・児玉耕太氏、東京理科大学理工学部経営工学科講師・小林和博氏が携わった。

スマートウェアで生体情報を取得し、建設現場の体調管理

スマートウェアを着用した立命館の児玉准教授

 開発中のIoTシステムは、国土交通省のi-Constructionを推進する技術開発公募に2017年8月、採択されている。対象となったテーマは「建設現場のヒト・モノをリアルタイムでつなぐ現場のIoT化技術」。交付予定額は995万円。

 スマートウェアを用いたIoTシステムは、作業者の生体情報を取得し、体調不良を管理すること、体調が作業効率にどう影響を与えるかを把握すること、さらに建設機械への巻き込み事故防止につながる立ち入り禁止エリアへの侵入を忌避させることの3つを目的としている。

IoT計測システムの図解

 システムの核となるのは、東洋紡の機能性素材「COCOMI」を活用した生体情報計測ウェア。このウェアに取り付けた端末「WHS-2」から着用者のデータを取得し、服などに入れて持ち歩く小型の無線転送デバイス「CC2650-STK」でアクセスポイントに飛ばす。アクセスポイントからはWi-Fi通信で、PCサーバに送られ、解析にかけられるという仕組み。

 アクセスポイントのデバイスには、英国で教育用に開発された安価な「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」を採用。バージョンは無線LAN機能を搭載しているZero W。実際の建設現場ではサーバまでの経由に、およそ5〜10m(メートル)間隔で設置する。

Raspberry Piと、被験者の送信電波を捉えて位置情報を出力するアンテナ

 生体情報のデータは、作業員の心拍、体表温度、加速度。およそ1秒間に1回の割合でこれらのデータを取得する。

 データ解析では、加速度(移動速度)と心拍で「作業効率と心拍変動」、時間経過と心拍で「疲労度合いと心拍変動」、心拍と作業内容や年齢または温度で「環境と心拍変動」、心拍と加速度または温度で「体調異変と心拍」、自律神経バランスで「作業負荷とストレス」をそれぞれチェックする。使用するプログラミング言語はPython、開発環境はAnaconda、Libraryはscikit-learn、NumPy、SciPy、matplotlibなど。

 分析にかけて、体調悪化が分かったときや危険エリアへ侵入した際には、作業者が持っている無線転送デバイスが振動して通知する。

 実証実験では、生体情報だけでなく、位置情報も取得して解析にかけ、工事現場での作業効率の向上につなげるという。

実証実験に先立ち児玉氏らが行ったモニタリング

【訂正】記事掲載時、機能性素材「COCOMI」の開発メーカーの社名に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

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