太陽光発電と農業を両立、いま「ソーラーシェアリング」が注目される理由ソーラーシェアリング入門(1)(1/2 ページ)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年、国内で大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」。その背景や今後の展望、運用面のポイントなどについて、千葉エコ・エネルギーの馬上丈司氏が解説する。

» 2018年09月10日 07時00分 公開

太陽光発電の新しい在り方であると同時に、農業・食料分野への貢献という期待から、国内で急速に注目度が高まりつつある「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」。本連載ではソーラーシェアリングが注目されている背景や今後の展望、運用面のポイントなどについて、千葉エコ・エネルギーの馬上丈司氏が解説する。

日本におけるソーラーシェアリングの始まり

 「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」が、ここしばらく再生可能エネルギーあるいは農業の分野で大きな注目を集めています。その理由を探るために、まずは日本におけるソーラーシェアリングの歴史を振り返ってみましょう。

ソーラーシェアリング設備の例

 「再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度(FIT)」が日本国内でスタートした2012年度には、既に10件程度の事例があったとされ、農林水産省の補助事業によって実態調査が行われました。その結果を踏まえて、2013年3月末に発出された通知「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」(24農振第2657号)につながり、ソーラーシェアリングが制度上正式に認められるようになりました。

 この通知の名前にあるとおり、ソーラーシェアリングとは農林水産省の制度上は「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等」を指し、この「支柱を立てる」という行為に対して「農地の一時転用許可」を得て太陽光発電設備を設置していくことになります。ちなみに、「太陽光発電設備等」の“等”とはなにか、太陽光発電以外に何か対象になるものはあるのか? というところですが、例えば同じく支柱を立てる風力発電設備が該当するようです。

 では、農地を雑種地などに用途を変更してしまう「完全転用」(または永久転用)の手続きを取り、野立ての太陽光発電設備を建てるのではなくて、あくまでも「一時的な用途転用」によって支柱を立てて太陽光発電を行うことには、どんな意味があるのでしょうか?

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