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» 2018年10月03日 07時00分 公開

太陽光:伸縮性のある有機薄膜太陽電池、世界最高の効率10.5%を達成

理化学研究所などの研究グループが、発電効率10.5%のフレキシブルな超薄型有機太陽電池の開発に成功。されにこれを用いた、「皮膚貼付け型心電計測デバイス」の開発にも成功した。

[スマートジャパン]

 理化学研究所(理研)などの共同研究グループは2018年9月、発電効率10.5%のフレキシブルな超薄型有機太陽電池の開発に成功したと発表した。さらに、これを用いて心電波形を計測する「皮膚貼付け型心電計測デバイス」の開発にも成功した。10.5%の発電効率はこれまでのフレキシブル有機太陽電池の世界最高記録を更新するものだという。

今回開発した皮膚貼付け型心電計測デバイス 出典:理化学研究所

 伸縮性のある薄型有機太陽電池は、ウェアラブルセンサーを長時間安定に駆動する電源としての応用が期待されることから、近年、皮膚や布地に密着させて、より高精度な生体信号を計測する次世代センサー用の電源として注目を集めている。「皮膚に貼りつけ可能なセンサー」がバッテリー交換などの電源の問題から開放され、長時間安定的に生体情報をモニターし続けることができれば、見守りサービスなどにつながる生体センシングに大きな可能性が開ける。

 共同研究グループは、これまでに超薄型かつ高いエネルギー変換効率と耐水性、大気安定性、耐熱性を持つ「超薄型の有機太陽電池」について報告してきた。しかし、皮膚に貼りつけが可能なほどの超薄型電源とセンサーが集積化されたデバイスは、これまでに報告されていなかった。その理由は、衣服や皮膚などの変形や光の入射角度変化の下では、太陽電池の出力が不安定になることにあった。そこで、共同研究グループは、この問題を解決できる太陽電池とセンサーの開発を試みた。

 共同研究グループはまず、フレキシブルな超薄型有機太陽電池の開発に取り組んだ。その結果、作製した太陽電池のエネルギー変換効率は、これまでのフレキシブル有機太陽電池の世界最高効率を0.5ポイント上回る10.5%を達成した。また同時に、課題だった光入射角度依存性を低減することにも成功した。

ナノグレーティング構造を持つ超薄型有機太陽電池の構造 出典:理化学研究所

 成功のポイントは、ナノスケールの規則正しい線状の凹凸パターンである「ナノグレーティング構造」を超薄型基板上に形成する技術を確立したことだという。それにより、厚さ1μm(マイクロメートル)の超薄型基板上の太陽電池の電子注入層と半導体ポリマー層の両方に高さ数10nm(ナノメートル)、周期約700nmのナノパターンを形成した。この周期的なナノグレーティング構造が、光の屈折率を調整して太陽電池表面での光の反射を低減させ、同時に薄膜内部での光散乱の増強と金属電極での「表面プラズモン共鳴効果」を起こすことで、より効率的に入射光を発電に利用することが可能になった。結果的に、エネルギー変換効率の大幅な向上と、環境光発電に有利となる光の入射角度に対する効率変化の抑制につながった。

 続いて、この超薄型有機太陽電池を、共同研究グループで開発を進めている有機電気化学トランジスタを利用した皮膚貼付け型の超薄型センサーと集積化することで、心電波形を計測する「皮膚貼付け型心電計測デバイス」を作製した。これを人体の皮膚に貼り付けたところ、外部電源なしに心電計測デバイスが駆動し、信号対雑音比(S/N比)25.9dB(デシベル)の精度で信号取得に成功した。

 同研究により、電力の消費や人体への負荷を気にせずに、連続的に生体情報を取得するための要素技術が実現したという。今回開発した超薄型有機太陽電池で駆動する皮膚貼付け型心電計測デバイスを発展させることで、無意識的に心電や心拍、他の生体情報を取得するセンサーデバイスを実現できる。今後は、取得した生体情報を処理する回路や無線伝送システムと統合することにより、次世代の自立駆動型センサーシステムの基盤技術を提供するものと期待している。

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