マイクログリッド市場は「離島」がけん引、2025年に153億円規模へエネルギー管理

調査会社の富士経済が国内のマイクログリッド市場に関する調査結果を発表。同市場は、2017年の81億円から2025年には153億円に成長すると予測した。

» 2018年10月10日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 調査会社の富士経済は、「分散型電源・分散型エネルギーシステムの導入」「エネルギー地産地消」「地域経済活性化」といった市場トレンドへの対応策として重要な位置づけにあるマイクログリッドの市場を調査し、その結果を「マイクログリッド関連ビジネスの将来展望2018」にまとめた。

 同社ではマイクログリッドの定義として、異なる電力消費形態・パターンを有する複数の需要家で構成、商用電力系統との系統接続および系統解列が可能で、系統連系での運用、単独運用ともに可能、系統内に商用電力系統に由来しないオンサイト型電源を有する、系統内の電力需給を包括的に制御可能なシステムを有する、の4つの条件を挙げた。そして、これらすべてに適合するおおむね50MW(メガワット)未満の小規模電力系統をマイクログリッドとした。

 マイクログリッド市場は、2017年の81億円から2025年には153億円(2017年比188.9%)まで拡大すると予測される。拡大をけん引するのは2017年に市場の65.4%を占めた「離島マイクログリッド」で、多系統の伸長もあり、構成比は縮小していくが、2025年でも最大の47.7%とみられる。また、伸長率で見た場合は「スマートコミュニティ/タウン/シティ」が最も高く、2017年から2025年にかけて3.7倍の拡大と予測した。

マイクログリッド市場の推移予測 出典:富士経済

 スマートコミュニティ/タウン/シティは、マイクログリッド定義に該当する各種技術実証、また、「次世代エネルギー・社会システム実証事業」「スマートコミュニティ導入促進事業」「地域の特性を生かしたエネルギーの地産地消促進事業費」「地産地消型再生可能エネルギー面的利用等促進事業」「分散型エネルギーインフラプロジェクト」などの採択事業のうち、マスタープラン策定以降の段階にあり実現性が高いとみられる事業が対象となる。補助政策やエネルギー地産地消費のトレンドを受け高い伸び率で拡大すると見込まれ、2025年に市場は41億円(2017年比3.7倍)と予測される。

 離島マイクログリッドは、九州6離島・沖縄3離島などの旧一般電気事業者が主体となった各種技術実証や「電気事業法第三条の二の二」に該当する離島(2017年4月時点87島)が対象となる。実証設備が撤去された案件についてもストックとしてカウントしている。

 ディーゼル発電機を主要電源とした離島系統では再生可能エネルギーや蓄電システムを軸に再構築するケースが大半を占めた。近年の再生可能エネルギー・蓄電システムの低コスト化に伴い導入が進んでおり、拡大するとみられ、2025年には73億円(2017年比137.7%)と予測される。

 需要家マイクログリッドは、マイクログリッド定義に該当するゼネコンなどの自社施設や大学における技術実証、廃棄処理場・下水処理場における発電機導入案件、「地域の特性を生かしたエネルギーの地産地消促進事業費」「地産地消型再生可能エネルギー面的利用等促進事業」「分散型エネルギーインフラプロジェクト」「公共施設等先進的CO2排出削減対策モデル事業」などの採択事業のうち、マスタープラン策定以降の段階にあり実現性が高いとみられる事業が対象となる。今後、公共事業関連のエネルギー利用効率化・面的利用の導入の増加に伴い拡大するとみられ、2025年には2017年比2.3倍の39億円と予測した。

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