“液状化”が懸念される軟弱地盤の基礎工事で、作業員数を半減・工期2割短縮の新工法

竹中工務店は、地震発生後に液状化が懸念される軟弱地盤の基礎工事を省人化・短工期化する「W埋込工法」を開発し、同社が設計・施工を担当した「ららぽーと名古屋みなとアクルス」に初適用した。

» 2018年10月11日 15時00分 公開
[石原忍BUILT]

 竹中工務店は、軟弱地盤における基礎工事の省人化・短工期化を実現する「W埋込工法」を開発。2018年9月28日にオープンした愛知県名古屋市港区の大型商業施設「ららぽーと名古屋みなとアクルス」に適用した。

複雑な基礎工事を簡略化、作業員数は半減・工期を2割短縮

 W埋込工法は、建物の基礎で地面中に埋め込まれた底辺部の「基礎フーチング」内に、柱脚と杭頭を埋め込み直接つなぎ合わせる工法。軟弱地盤の従来工法では、RC造の基礎梁(はり)と杭基礎を基礎フーチング内の杭頭補強筋によってつなぎ合わせるため、基礎工事自体が複雑化し、施工性が悪く手間もかかっていた。

 W埋込工法では、鉄骨の柱脚を基礎フーチング部分まで埋め込み、杭基礎にそのままつなげることで簡略化し、複雑な杭頭補強筋につなげる工程を省略。省人化・短工期化を実現して、500カ所の基礎を施工する「ららぽーと名古屋みなとアクルス」の基礎工事では、作業員数を約50%削減、工期では約20%短縮したという。

左が従来工法、右がW埋込工法 提供:竹中工務店

 さらにこの工法では、鉄骨柱が基礎梁内部に埋め込まれているため、鉄骨柱から鉄骨梁をそのまま出すことができ、基礎梁を鉄骨化する場合にも活用することができる。

 安全性の検証では、技術研究所にて1/2スケールの架構実験を実施。大地震時を想定した大きな力が作用した場合にも安定した挙動を示し、従来工法に対して約15%のエネルギー吸収能力を確認した。

安全性の検証 提供:竹中工務店

 竹中工務店では、これまでに杭基礎工法として、「竹中杭頭半剛接工法」「竹中コンパクトパイルキャップ工法」を活用してきた。今後は、軟弱地盤を中心に省人化・短工期化が求められる基礎工事へ、W埋込工法の導入を図っていくとしている。

 ららぽーと名古屋みなとアクルスの店舗棟概要は、S造・地上4階建て(高さ約21.1m)、延べ床面積は約12万4700m2(平方メートル)。建築主は三井不動産、設計・施工は竹中工務店が担当した。工期は2017年4月〜2018年8月。

ららぽーと名古屋みなとアクルス 提供:竹中工務店

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