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» 2018年11月09日 06時00分 公開

2018年ビルのエネルギー効率に関する調査結果:国内では「従業員の採用・維持」と「テナント・賃料の確保」がビル省エネ化のカギ (1/3)

ジョンソンコントロールズは2018年11月1日、日本を含む世界20カ国1900人のエネルギー/設備管理責任者を対象に行った「2018年ビルのエネルギー効率に関する調査結果」を発表した。調査結果によると、ビル省エネ化を推し進める要因とされたのは、ビルで働く社員の満足度につながる「従業員の採用・維持」と、「テナント・賃料の確保」だった。グリーンビル認証を取得など、ビルに付加価値をつけることが求められている。

[石原忍,BUILT]

 ジョンソンコントロールズは2018年11月1日、日本を含む世界20カ国1900人のエネルギー/設備管理責任者を対象に行った「2018年ビルのエネルギー効率に関する調査結果(EEI: Energy Efficiency Indicator Survey 2018)」を発表する記者説明会を東京・本社で開催した。

 調査は、商業ビルにおけるエネルギー効率改善に関する計画的投資、原動力、課題について、12年にわたりリサーチしており、説明会では日本を含むグローバルにおけるエネルギー効率と、アジア地域とグローバルでのスマートシティー指標の調査結果が報告された。登壇者は、グローバルサスティナビリティ担当バイスプレジデントのクレイ・ネスラー(Clay Nesler)氏。

エネルギー効率化投資の最大の壁は「技術的な専門知識の不足」

グローバルサスティナビリティ担当バイスプレジデント クレイ・ネスラー氏

 ネスラー氏は、「エネルギー効率化、再生エネルギー、スマートビルテクノロジーへの投資拡大を予定している組織は、ドイツの83%を筆頭に、オランダ(71%)、中国(70%)と続き、日本は第6位(60%)と、世界的に増加傾向にある」と指摘した。

 その要因として、世界的にはエネルギー効率化投資の原動力は「エネルギーコスト削減」がトップ。日本は、「テナントやテナント賃料の確保」と回答した割合が、全調査国の平均に比べて13%も高く、「コスト削減」「温室効果ガスの排出削減」「従業員の確保・維持」に次ぐ結果となった。

今後1年間で、エネルギー効率化、再生エネルギー、スマートビル技術への投資拡大を予定している組織の国別割合
エネルギー効率化投資の理由 ※◆が世界、カラーグラフが日本
日本や世界においてエネルギー効率化投資を阻む要因 ※◆が世界、カラーグラフが日本

 国内で過去1年に実施した省エネ改修の投資額は、「HVAC(空調冷熱)機器」が最多の72%。次に、従業員に照明を使ってないときにOFFにする周知なども含めた「行動的・教育的プログラム」が65%、日本特有のトピックスとしては、ソーラ―をはじめとする「オンサイト再生エネルギーへの投資」が第3位の61%。昨今の災害を受けて、電力供給量に需要量を合わせる「デマンドレスポンス/デマンドマネジメント」も60%と多かった。

過去1年間で日本の組織が行った投資

 一方で、今後1年間の投資計画では、42%の日本の組織がさらなる投資を行うと回答し、システム統合に向けた動きは継続し、「防火・防災」が53%、「ビル管理」が51%、「セキュリティシステム」が49%で、ビルシステム統合への動きはさらに活性化されるとみられる。

今後1年で日本の組織が行う投資計画

 ネスラー氏によると、今後のビルインフラ投資でキーワードとなるのは、「“ネットゼロ”と“レジリエンシー(回復力)”」。このワードは世界的に増加傾向にあるが、日本では欧米の先進国と比較するとまだ意識が低いのが現状。インフラ投資を考慮する際、レジリエンシー(回復力)を重視すると答えた日本の組織は、調査国平均の72%を6%下回る66%という結果になった。

 さらに、今後10年以内にほぼゼロ、ネットゼロ、カーボンポジティブ(CO2排出量が吸収量を上回る)またはエネルギーポジティブ(エネルギー生産量が消費量を上回る)の機能を有する施設を1件以上持つ可能性が、「非常に高い」または、「極めて高い」と答えた日本の組織の割合は56%。今後10年以内に、オフグリッドで操業できる施設を1件以上持つ可能性が「非常に高い」または「極めて高い」と答えた日本の組織の割合は、45%で20カ国中15位にとどまった。

ネットゼロとオフ・グリッド施設を持つ可能性が高い回答の比率

 こうしたエネルギー効率化を実現する技術としては、IoT(90%)、データ分析/機械学習(90%)、サイバーセキュリティ(88%)が調査国において高い注目を集めている。

 しかし、エネルギー効率を阻む壁となっているのは、「プロジェクトを評価、実施するための技術的な専門知識の不足」が世界・日本ともに1位。国内では、「省エネの改修資金不足」も次点で高かった。

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