太陽光の“発電事業者”による新団体「ASPEn」誕生、その設立の狙いとは?自然エネルギー(2/4 ページ)

» 2018年12月10日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

発電事業者の声を集め、政策への反映目指す

ASPEn代表理事の谷口洋和氏

 これを受けて、ASPEn代表理事の谷口氏は、「再生可能エネルギーでエネルギー自給率を200%にする。原発にただ反対するのではなく、原発がいらなくなるように、どんどん再生可能エネルギーを進めていくという方向で運動をしていきたい」と決意表明をした。

 谷口氏は、太陽光発電所の企画・販売を手掛けるa&veinの代表取締役であり、中小規模の太陽光発電事業者の任意団体である「太陽光発電ムラ」の代表でもある。ASPEnの会員には、太陽光発電ムラのメンバーが多数登録されており、連携しての取り組みにも期待が持たれている。

「太陽光発電所というと大規模なメガソーラーを想像される方も多いと思いますが、私たちのメンバーには、低圧と呼ばれる50kW以下の、だいたい田んぼ1反分くらいの面積でやるような発電所を運営している事業者が多数います。ほとんどの皆さんが、太陽光発電に命を懸けている。太陽光発電所を所有するには数千万円のお金がかかります、マイホームを購入するのと一緒です。たいていの皆さんはローンを組みます。銀行からなかなかOKがもらえなかったり、夫婦で大ゲンカをしたり、大変な苦労をして発電所を持つんです。生半可な気持ちではできません。もちろん、太陽光発電所はお金を生んでくれます。でも、それだけではありません。原発をなくしたいだとか、再生可能エネルギーを広めたいという気持ちで、人生をかけて全力で取り組んでいます。その全力さを認めてほしいという想いで、私はこのASPEnを立ち上げました」(谷口氏)。

 では、具体的には何をやろうとしているのか? 谷口氏は、ASPEnのミッションは大きく分けて3つあるという。

「1つ目は、再生可能エネルギーの便益の周知です。再生可能エネルギーが増えても電気料金が上がるだけじゃないかという人がいますが、電気料金が上がっても輸入する石油の量が減ったり、気候変動の抑制に貢献したり……大きな便益があります。まずは、それを周知していきたい。2つ目は、我々自身の襟を正していくことです。昨今、一部の無責任な事業者が設置した発電所によって、市民生活の安全や快適性が脅かされ、太陽光発電に対するイメージが損なわれています。私たち太陽光発電事業者は、インフラの担い手として責任ある発電所の運営をしていかなければなりません。そのためにも、発電事業者として果たすべき安全確認義務などの確実な遂行を図ります。3つ目は、発電事業者の意見をしっかりと集めて、政治に反映させていくことです。“野立て”といわれる私たちが所有しているような発電所は、全国に約50万件あります。この声をまとめて、中央に届けていきたいと考えています」(谷口氏)。

 なお、会員登録にあたっては、発電所に看板を設置しているかなどを写真によってチェックすることになるという。これも、発電事業者としての義務遂行を第一に考えるASPEnの姿勢のあらわれといえるだろう。

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